2016年第3回定例会 討論

2016年第3回定例会 討論

 

2016年10月13日

西崎 光子

 

都議会生活者ネットワークを代表して、第179号議案に反対、その他の知事提出のすべての議案と議員提出議案第9号に賛成の立場から討論を行います。

  • 八ッ場ダムの基本計画変更について

はじめに第179号議案「八ッ場ダムの建設に関する基本計画の変更に関する意見について」です。

今回の八ッ場ダムの基本計画は、5度目の計画変更となり、事業費も4600億円から5320億円と膨れ上がりました。また、工期についても当初計画の2000年から2019年とこれまでに3回延長されています。

2013年の計画変更の際、東京都からも、事業の実施にあたっては、工期延長等により事業費が増額しないよう徹底したコスト縮減に取り組むことを強く要望しています。それならば、今回の事業費の大幅増額案を到底容認できないと考えられます。

今回の計画案における八ッ場ダム工事関係の増額要因の中で、基礎岩盤が当初想定と違ったことを国土交通省は理由にしていますが、このことについて8月12日の日経新聞では、「地質の見込み違い」「計画のずさんさが改めて浮き彫りになった」と厳しい指摘をしています。さらに、八ッ場ダム予定地は、地すべりのデパートと地質の専門家が指摘するほど多数の地すべり地に囲まれ、しかもダム湖予定地のまわりには、多くの住宅があり、他のダムにはない難しい条件下にあるダム工事であると言えます。

今後更なる工期の延長や増額が予想される中で、都は、国からの説明に異議を唱えることもなく、唯々諾々と従っていますが、構想から60年以上経ってもできないということからも、八ッ場ダムが必要ないことが明白であり、この議案には反対です。

 

  • 待機児対策の補正予算について

第152号議案一般会計補正予算案第2号についてです。待機児童対策は待ったなしの状況ですが、多くの待機児を抱える自治体がいちばん困っているのは、用地の確保です。都有地の活用は、生活者ネットワークがこれまでも提案してきましたが、学校用地の一部を使うなど各局所有の土地を洗い出し、区市町村に情報提供、周知することを改めて求めます。

緊急対策が迫られていますが、保育園を増やし受け入れ人数を増やすだけでなく、保育の質の確保も重要です。保育事業の主体である自治体と連携し、自治体が取り組みやすい運用を要望します。

 

  • 情報公開について

小池知事は所信表明で、「東京大改革」を掲げました。膨れ上がるオリンピック・パラリンピック予算についても検証し、公共事業の見直しを都民ファーストの視点で進めていくことを期待しています。

そして、「東京大改革」を推進する肝は「都政の透明化、つまり、見える化、わかる化の徹底」であるとしています。そのためには、情報公開の推進とその基盤となる公文書管理のあり方が重要です。

例えば、豊洲の一連の問題において「自己検証報告書」という内部調査では、「誰が、いつ、どこで何を決めたのか」さえ解明することができない事態となっています。組織的に使われたメモなどを公文書として管理し公開すれば、責任の所在もより明らかになるはずです。今回の不祥事を二度と起こさないためにも、公文書の範囲を広げ、保存期間やアクセスのしやすさを改善し、「のり弁」と言われる黒塗りの文書をもっと開示するなどの改善が必要です。「行政情報は市民のもの」という意識のもとに、公文書を管理し情報公開を進めるよう要望します。

 

  • 豊洲新市場の盛り土問題について

豊洲新市場の盛り土問題の発覚や、地下水モニタリングで環境基準を超える有害物質の検出によって、生鮮食料品を取り扱う市場の安全性が根底から覆される事態となりました。

豊洲は東京ガス工場跡地で、環境基準の最大4万倍を超えるベンゼンが検出された汚染土壌であり、市場を造るために汚染を除去し、さらにきれいな土で盛り土をするという対策を施すことになっていました。そもそも汚染のひどい豊洲に中央卸売市場を建てること自体に無理がありましたが、土壌汚染対策に万全を期すことを条件に移転計画が進められてきた経緯があります。盛り土がないということは、対策の前提条件さえ備えておらず、安全性の議論をもう一度やり直さなければなりません。

環境アセスメントでも、評価書に重大な虚偽記載があったにもかかわらず、これから変更届を提出するだけで済むというのは、何の歯止めにもならない環境アセスのしくみにも問題があります。このままでは、築地市場を豊洲に移転することは到底容認できません。

議会においては、経済・港湾委員会で豊洲問題について2日間にわたって集中審議が行われましたが、都庁の嘘と責任転嫁、隠ぺい体質が露呈し、真相の究明には遠く及ばず、都政への信頼はさらに失墜しています。情報を隠すことで、誰が何を守ろうとしているのか、責任の所在もはっきりしないままです。

本議会で設置される特別委員会で、これまでの関係者を含めて参考人招致をするなど、今回の問題を解明し、安全性を検証していく必要があります。

 

  • 都議会改革について

最後に、都議会改革についてひと言申し上げます。

知事報酬を半減する議案は、知事の決意と政治姿勢を示すものとして尊重し賛成するものです。一方、都議会では、費用弁償についての条例提案が継続審議のまま議会のあり方検討会で議論されることになりましたが、都議会議員の任期も残り1年を切りました。費用弁償については期限を切って賛否をとるとともに、海外調査のあり方や公用車の使い方など議会改革についても、残りの任期の中でしっかり結論を出していくことを求め、都議会生活者ネットワークの討論とします。