2016年第2回東京都議会定例会 一般質問

2016年第2回東京都議会定例会 一般質問

2016年6月8日

西崎 光子

 

  • 知事の政治姿勢について

舛添知事の一連の問題については、これまで多くの議員から質されたにもかかわらず、納得のいく説明はありませんでした。

「反省しています」「生まれ変わって」という、通り一遍の言葉では、失った信頼は回復できません。議会から求められた情報の開示には応えず、具体的な改革案は何一つ示さず、知事はどう生まれ変わるというのでしょうか。

自分の政治資金について公私混同する人に、13兆円という巨額な予算を持つ都政のトップリーダーは務まるはずがありません。

都民や都議会への説明責任が果たせないのなら、都民の8割が辞任した方がよいと言っているこのことを重く受け止め、知事自ら辞職すべきと考えますが、知事の見解を伺います。・・・・・・Q1

A1(知事):多くの都民から厳しい批判をいただいていることは、真摯に受け止めている。今回の調査結果をもって直ちに理解を得られるとは考えていないが、この結果を踏まえて、問題にしっかりと対応して地道に都政の発展に尽くしていくことで、信頼回復に努めていきたい。

 

  • 知事の海外出張について

これまでの知事の海外出張費用は、1件を除いて条例に規定されている金額内では行われておらず、一番高い時は、規定の5倍近くになっています。他の自治体の知事は、規定の金額内になるよう旅行会社に指定しているところもあり、そのトップの見識が問われています。批判を受けて、知事は、ファーストクラスやスイートルームを使用しないと表明し、具体的には、検討会を立ち上げ、6月末に結果を公表する予定です。

そこで伺いますが、海外出張費を検証するための庁内職員による検討会では、どのような項目で、どのような視点で見直すのか、都の見解を伺います。・・Q2

A2(政策企画局長):検討会においては、これまでの海外出張を検証し、出張人数や経費削減はもちろん、経費の公開方法などについてまで広範に検討を進めている。ファーストクラスやいわゆるスイートルームについては、知事が利用しないと表明しているが、その他の検討項目についても、前例にとらわれず、徹底した見直しを進めることとしている。

 

また、知事の旅費については、規定の金額を超える場合には、人事委員会と協議をしているようですが、これまで、人事委員会においてどのような手続きが行われたのか伺います。・・・・・・Q3

A3(人事委員会事務局長):人事委員会の意思決定は、地方公務員法及び人事委員会規則の定めに基づき、3人の委員により審議し、合議により行うほか、人事委員会で一定の考え方が示された事案などについては、案件に応じて、事務局長等を決定権者としている。こうした仕組みのもと、知事の旅費の増額については、知事が地方公務員法の適用を受けない特別職であるが、手続きの万全を期したいとの任命権者からの要請に基づき、従前より、増額の理由が適切か否かについて確認し、事務局長決定で処理。

 

  • 知事の危機管理について

熊本地震には、多くの自治体から支援が寄せられましたが、特に、東日本大震災や関東、東北豪雨の被災自治体の首長は、自分達が被災した経験から、その対応は真摯なものであったと聞いています。

知事は、この時ワシントン、ニューヨークを視察中、ワシントンといえば、世界に発信できる拡声器効果がある場所と言われているにもかかわらず、インターネットに流れた映像は、オープンカーで満面の笑みを浮かべた知事の姿でした。これを見た市民からは、「不謹慎」「予定を繰り上げて東京に戻り、指示を出すべき」といった批判の声が流れてきました。また、東日本大震災の被災地には、たった1回日帰りで福島に行っただけです。東京が大災害に見舞われたときには、全国の自治体からの支援や協力関係が重要になると考えますが、知事の災害に対する危機管理が鈍いと言わざるを得ません。

国内の災害に対して率先して支援に動くべきと考えますが、知事は出張先でどのような対応をとったのか伺います。・・・・Q4

A4(知事):米国出張中に熊本地震が発生し、発生直後に事実を把握し、直ちに確認の支持を行った。都庁からのメールや電話等により逐次報告を受け、宿泊部屋や移動中の車中などでも協議を行い、対応について指示を行った。また、都庁においては、休日を含め、副知事以下が参集し、会議を行い、情報の共有と速やかな対応をするよう徹底したところである。海外に出張中であっても、日本国内での大きな災害が発生した場合、都として十分な体制をとっており、知事として被災地へのお見舞いの気持ちも発信していたところであるが、桜まつりパレードの映像が多く報道され、不快に感じた方が多くいたという声については、真摯に受け止めたい。

 

  • 原発事故避難者への支援

福島原発事故から5年、政府と福島県は、来年3月をめどに帰宅困難区域を除く全ての避難指示を解除し、賠償を打ち切ろうとしています。しかし、この事故を引き起こした国と東京電力は、被害の全てを償う責任があります。これまで避難者たちは、事故後の生活を慣れない土地でなんとか築いてきましたが、多くの避難者は、原発の安全性や被曝への不安などの理由から、「戻らない」「まだ判断がつかない」としています。その矢先、来年の3月限りで住宅の無償提供が打ち切られようとしており、このことは、経済的困窮を引き起こし、多くの人々の生活基盤を失わせることになります。

東京には、福島県からの避難者は2600人。今回、避難解除の対象者は、1400人となっています。強引に選択を迫られていると不安を募らせ、経済的にも困難な状況に陥ることが懸念されます。埼玉県や新潟県などでは、独自支援策にも取り組んでおり、都としても、福島原発の電気の恩恵に浴していた立場から、誠意をもって避難者と話し合い、本人の意思を尊重し、引き続き居住できるような都独自の支援が必要と考えますが、見解を伺います。・・・・・・Q5

A5(都市整備局長):これまでも都営住宅の募集において入居要件緩和や当選率が一般の5倍となる優遇措置等を実施するとともに、東京都住宅供給公社の一般賃貸住宅への紹介やあっせん等を行ってきている。また、相談拠点の活用や福島県とともに行っている戸別訪問により、避難者からの相談にきめ細かく対応。引き続き生活状況や意向を聞きながら、福島県と連携を図り支援を行っていく。

 

  • 福祉避難所について

熊本地震では、情報提供の遅れや人手不足により、福祉避難所がなかなか機能せず、多くの課題が明らかになりました。また、一般の避難所でも、水不足で哺乳瓶の洗浄、消毒ができず、乳幼児にミルクをあげる事ができないため、子育て中の母親らが日本で製造されていない乳幼児用液体ミルクを輸入し、被災地への配布を求める要望書を内閣府に提出しました。生活者ネットワークは、予算特別委員会で小松久子議員が、この問題をいち早く取り上げています。

熊本地震では、妊産婦が避難所で生活できず、車で寝泊りするなど、避難所運営において様々な課題がありましたが、女性や乳幼児、妊産婦等に配慮した避難所運営にかかわる都の取組について伺います。・・・・・・Q6

A6(福祉保健局長):東京都地域防災計画の修正を踏まえ、都は、女性や要配慮者の視点を取り入れて、区市町村のための避難所管理運営の指針を、2013年2月に改訂。その中には、区市町村が取り組むべき具体的な事項として、女性専用の更衣室や授乳室の確保、避難所管理責任者への女性の配置などを盛り込んでいる。今後、熊本地震の経験から得られた教訓も踏まえ、区市町村が、女性や乳幼児、妊産婦等に配慮した避難所運営を行えるよう、「避難所管理運営マニュアル」の作成や改訂を働きかけていく。

 

  • 立川防災倉庫

旧立川政府倉庫は、知事が就任直後に視察し、多摩地域の備蓄倉庫として、突然、都が国から購入することにしました。築25年以上経ち、22000㎡もある旧立川政府倉庫は、立川断層沿いにあります。生活者ネットワークは活断層である立川断層の近隣には公共施設をつくるべきではないとこれまで主張してきました。4月に熊本を襲った大地震は、活断層による数回の揺れによって、新耐震基準の建物でも甚大な被害を受けており、新耐震基準でもリスクはあります。巨大な旧立川政府倉庫を備蓄倉庫として、国から買い入れる必要があるのか疑問です。

今回、当初予算の76億円よりも3割安い52.6億円が購入価格として示されました。立川断層があることが、価格が安くなった要因のひとつではないかと考えますが、震災が起こって使えなくなるのでは意味がありません。この倉庫の予算額と予定価格の差について伺います。・・・・・・Q7

A7(総務局長):予算額は、公示価格や国有財産台帳の価格を参考に推計した金額。一方、予定価格は、当該不動産の具体的な状況等を踏まえ、都と国それぞれで実施した不動産鑑定士による鑑定評価の結果のうち、より低廉な国の評価額を採用したもの。なお、同倉庫は、いわゆる新耐震基準を上回る基準として都が定めた、「構造設計指針」に適合した高い耐震性能を有している。

 

  • 東京2020大会の招致活動について

2020年東京大会は、新国立競技場、大会エンブレムの白紙撤回と大騒動が相次ぎ、無駄にお金が使われただけでなく、今後都の負担がどれだけ膨れ上がるのか予想もつかない事態となっています。

さらに、今回、招致をめぐって、海外コンサルタント料約2億3000万円への疑惑が、大きく報道で取り上げられています。招致委員会が結んだ、問題の海外コンサルタントとの契約に関する経緯や内容など不明な点が多くあります。JOCは調査を開始したとのことですが、東京都も、開催都市として大会招致の疑惑を追及しきちんと明らかにしていく責任があります。

東京都と招致委員会は役割分担をしながら、招致活動を行ってきたと聞いていますが、その役割分担の中で、問題とされている契約を含め、都はどのような国際招致活動を行い、委託契約の相手方をどうのように選定したのか、伺います。・・・Q8

A8(オリンピック・パラリンピック準備局長):招致活動における役割分担であるが、都と招致委員会は、行政と民間という団体の特徴を生かしながら役割分担を行い、招致活動に取り組んできた。国際招致活動のうち、いわゆるロビー活動などについては招致委員会が担当しており、都は公費を一切支出していない。したがって、お話の契約には都は一切関与していない。一方、都は、開催都市として、ロンドン大会におけるジャパンハウスの運営やIOCの公式イベントでのプレゼンテーションなどを担当していた。委託契約については、その契約内容に応じ、複数業者に企画内容を競わせる企画提案方式を採用するなど都の契約手続きに沿って公正公平に行った。

 

  • 羽田空港の飛行経路の変更について

2020年に向けた羽田空港の機能強化策として打ち出された国際線増便の方針は、これまで東京都が国に促してきた経緯がありますが、提案されている新たな経路は、港、渋谷、品川区など都心の上空を、スカイツリーよりも低い610メートル以下の高度で飛行するルートです。氷やゴムの破片が航空機から落下する事故は、着陸前に車輪を出すいわゆる「足だし」時に多発するため、成田空港では、海上で行うよう国交省が勧告を出していますが、新ルートでは住宅密集地の上空での「足だし」が避けられません。騒音や、民家の頭上で事故が起きる危険性などに対する懸念からも計画見直しを求める声が各地からあがっているのは当然と言えます。

このような都民の声を都としてもしっかりと受け止め、騒音や落下物への不安を解消するとともに、ていねいな説明を行うよう国に働きかけるべきと考えます。所見を伺います。・・・・・・Q9

A9(都市整備局長):2020年大会や、その他の航空需要に応え、国際便の就航を増やしていくためにも、羽田空港の容量拡大は必要不可欠。国は昨年度、都内16か所で、延べ70日間にわたり、説明会を開催。住民から騒音や落下物への懸念も含め、さまざまな意見や要望があった。都はこうした状況なども踏まえ、国に対し引き続き地元へのていねいな説明、騒音の影響を軽減する方策や徹底した安全管理に取り組むことなどを要望していく。今後とも、都民の理解が深まるよう、積極的に取り組み、国際的な拠点空港としての羽田空港のさらなる機能強化を図っていく。