2011年第2回定例会 討論

2011年7月1日
都議会生活者ネットワーク・みらい
星 裕子

都議会生活者ネットワーク・みらいを代表し、知事提出案件のすべてと、議員提出議案第4号「東京都省エネルギーの推進及びエネルギーの安定的な供給の確保に関する条例」に、賛成の立場から討論します。

石原知事の4期目のスタートにあたり、「都政運営の新たな戦略」を発表しました。また、東日本大震災を受けて、「東京都緊急対策2011」と「東京都電力対策緊急プログラム」を策定し、緊急対策として、95事項、3,000億円を掲げ、うち今回の補正予算には、特に緊急を要するとした1,374億円が計上されています。

まず、補正予算について、申し上げます。

●はじめに、震災対策についてですが、
東日本の大震災発生後から、被災地や被災者への支援が、これまで都から応急対策として行われてきましたが、今後は、被災地が日常の生活を取り戻すために、雇用や企業活動など自立的な経済サイクルを回復させ、本格的な復興を後押しできるよう、支援を進めていくことが必要です。
今回の大地震は、遠隔地で発生した地震でありながら、原子力発電所の事故などの影響など、これまでの防災対策の想定をはるかに超えるものでした。
地震発生当日は、多くの帰宅困難者が発生し、都庁や都立学校などが一時避難所として開放されましたが、こうした支援や情報を知らない都民も数多くいました。帰宅困難者対策については、帰宅困難者の一時受け入れ施設の確保や備蓄を推進することなど、民間事業者や各自治体とも連携を図り、実行性の高い対策がとれるよう協議をすすめていくことを要望します。

また、ボランティアについても、今回、参加したいという多くの都民の申し入れを受け、都はバスを用意しボランティアを被災各地に送り、現地の回復、地域の方々への励ましに大きく寄与しています。都民ボランティアは東京ボランティアセンターの経験のあるスタッフによるコーディネートや現地でのリードがあるため、初心者が安心して参加できる仕組みです。
不安定な生活が長期化する中で、ボランティア活動のニーズも変化しています。これまでの肉体作業中心の活動だけでなく、被災者の心に寄り添った支援など、幅広い年齢層に即応し、未経験者の参加の機会を広げる必要があります。都民ボランティア制度のさらなる拡充が必要です。

そして、首都直下型や東海などの大型地震の危険性も懸念される中、今回の事を踏まえ、市区町村とも連携し、地域防災計画の総点検を行い、防災対策のさらなる推進にむけた取組を進めていくことを求めます。

●放射能対策について、申し上げます。
原発事故による放射能汚染は、新たな場所で次々に検出されています。都は水道水や大気中の放射能測定や農水産物などの検査を行ってきましたが、放射能汚染は今後も続くものと覚悟して、都民の健康を守り、食の安全を確保するために、全力を尽くさなくてはなりません。放射能測定の継続と情報公開を進め、リスクコミュニケーションに努めて、子を持つ親の不安解消を図ることは重要です。何より未来ある子どもたちの健康被害を未然に防止することを強く要望します。

●節電対策についてですが、
福島原発の事故は国内の大半の原発を一時停止させ、その上、定期点検後の再開についても、当然のごとく、地元の了解が得られない状況となっています。便利な都市の生活が福島を始め遠くの原子力発電所の電気に依存してきたということを、東京に暮らすわたしたちは今突きつけられています。今こそエネルギー政策の転換が求められています。

今回の緊急対策には「過度な電力依存社会からの脱却」が掲げられていますが、具体的なしくみづくりはこれからです。低炭素・高度防災都市づくりを進めるために、都市のビジョンを示す必要があります。
まず今年の夏を乗り切るため、国はマイナス15%の数値目標を挙げました。さらに東京都は率先行動として25%削減を掲げ、都庁でサマータイムを導入していますが、その効果がはっきり見えないのが現状です。今回の対策は、平日昼間のピークカットが目的ですが、25%削減の目標達成に向けた省エネを具体的にすすめるためには、実際に使っている電力量の「見える化」が欠かせません。まずは、都庁の消費電力をだれもがわかるように公表し、努力結果を共有したり作戦を立てたりすることが大切です。そしてさらに東京都エリアの消費電力を把握し、数値を公表することを東京電力に求め、低炭素都市を実現する一歩とすべきと考えます。

●次に、議員提出議案第4号「東京都省エネルギーの推進及びエネルギーの安定的な供給の確保に関する条例」について、申し上げます。
私たちは、かねてからエネルギーシフトを提案しています。使用するエネルギー量を減らし効率化すると同時に、再生可能エネルギーに替えていくことをめざすものです。エネルギーを分散型にし、地産地消を進めることが重要です。
よってこの条例の制定を求めるものです。

●次に、オリンピックについて、申し上げます。
大きな財政負担が将来世代への負の遺産となることは避けなければなりません。震災復興という名目で、大規模イベントを開催し、都市再生や求心力を高めようとする考え方はもはや時代遅れの発想と言わざるを得ません。よって、2020年にオリンピックを再び招致することには、賛成できません。

●最後に、特別委員会についてです。
2009年の都議会議員選挙において、「新銀行東京」、「築地市場の移転」問題が都政の課題として有権者から大きな批判の声があがり、2009年第3回定例会において、「株式会社新銀行東京に関する特別委員会」「東京都中央卸売市場築地市場の移転・再整備に関する特別委員会」が、都議会で賛成多数で設置された経過があります。

「新銀行東京」については、たった2回の開催であり、新銀行東京が、巨額の累積赤字を計上するに至った原因やその経営責任、都の責任については、何ら明らかになっていません。

また、築地市場移転問題についても、昨年10月に中間報告がまとめられただけで、継続審議となったままです。

今議会で、二つの特別委員会がその目的をなにも果さないまま継続の是非が問われる事態となりましたが、都議会生活者ネットワーク・みらいは、特別委員会の廃止は、議会としての調査権や、都民への説明責任をも放棄するものです。
あらためて、両特別委員会の継続を求め、討論といたします。