2019年第4回定例会を終えて(談話)

昨日第4回定例会が閉会し、談話を出しました。

2019年第4回定例会を終えて(談話)

2019年12月18日

都議会生活者ネットワーク  山内 れい子

本日第4回定例会が閉会しました。

  • 気候非常事態宣言について

今議会で、若者たちが提出した「気候変動に対する非常事態宣言を求める請願」が継続審査となったのは残念です。

先日マドリードで開催されたCOP25で、「気象災害で2018年の最大の被害国が日本だ」と、ドイツの環境NGOが公表しました。昨年の猛暑や豪雨、台風被害の甚大さによる選考ですが、今年秋に相次いで襲来した台風による広域被害を見ても、気候変動問題は、東京も、今まさに直面している現実の危機であることを認識すべきです。温室効果ガス排出削減をはじめとする気候危機対策をこれ以上先送りすることは許されません。一日も早く「気候非常事態」を宣言し具体的に行動することが、大都市東京に課せられた責務です。知事の宣言を期待します。

  • 「女性差別撤廃条約選択議定書の批准を求める請願」が賛成多数で採択

「女性差別撤廃条約選択議定書の批准を求める意見書に関する請願」が賛成多数で採択されました。

選択議定書は1999年に国連総会で採択されてから20年、批准を求める声が何度も出されていますが、日本はいまだに批准していません。先日、各国の男女平等度を示す2019年のジェンダーギャップ指数が発表され、日本はまたもや後退、過去最低の121位となりました。この20年の間に世界では男女平等が進み、政治や経済分野でも活躍する女性が多くなりました。ところが日本では、議員や管理職の女性割合の低さという地位だけでなく、#MeToo運動が展開されてもくり返されるセクハラ・マタハラや大学入試での男女差別など、意識下にあるジェンダーバイアスの根深さは計り知れません。選択議定書は個人通報制度と調査制度の手続きを定めており、個別具体事例の解決を突破口として日本の状況を変えていくためにも、批准が必要です。

今回請願は採択されましたが、前定例会における選択的夫婦別姓の法制化のように、全会一致でなければ提出しないというルールによって、意見書提出が見送られてしまうのではないか、都議会の姿勢が問われています。

  • 防災

今年秋の甚大な台風被害からの貴重な教訓をもとに、風水害時の防災対策の強化と抜本的な見直しが求められています。避難勧告のあり方や避難場所と移動手段の確保など、民間への協力要請を含めて検討を進めなければなりません。都有施設を避難先として災害種別に見直し、区市町村と迅速に協定を結ぶこと、広域避難のあり方を検討することを求めました。

  • 八ッ場ダムの治水効果について

 台風19号で八ッ場ダムは7500万㎥を貯水、これは本来の貯水能力を1000万㎥も上回る貯水量でした。八ッ場ダムは多目的ダムで、水道など利水のために2500万㎥、治水のためは6500万㎥となっています。たまたま試験貯水中のほぼ空状態のときだったため、治水用の容量を大きく超える貯水ができたものであり、もし本格運用が始まっていたら、逆に緊急放流が実施されたおそれさえありました。

 そもそもダムの治水能力が限定的であることは、昨年の西日本豪雨時に日本中で認識されたところです。八ッ場ダムには約6500億円もの巨費が投じられましたが、氾濫防止・決壊防止のためには、むしろ河床の掘削や堤防強化こそが有効だと指摘してきました。

代表質問では、この台風で「八ッ場ダムが大きな貯水機能を発揮し、都民の命を守ってくれた」という発言がありました。1日で水が満杯になった八ッ場ダムを見て、インターネット上にはこうしたデマが多く出回りましたが、現象を表層的にとらえただけの不見識な意見であり残念です。

都議会生活者ネットワークは、生活者の視点で、環境・福祉優先の持続可能なまちづくりをすすめていきます。みなさまからのご提案をお待ちしております。