2006年(平成18年)度予算原案の発表にあたって(談話)

都議会生活者ネットワーク
幹事長 大西 由紀子

 本日発表された平成18年度予算原案は、第二次財政再建推進プランの最終年度の予算として、「財政構造改革の足取りを確かなものとし、東京の更なる発展を目指すもの」とされています。
一般会計の予算規模は都税収入の伸びを受けて、5年ぶりに6兆円を超え、前年度比5.4%増となりました。17年度に引き続いて臨時的な財源対策を行うことなく当初予算を編成し、いわゆる「隠れ借金」の圧縮や基金残高の確保に努めて、18年度末にはようやく基金残高が「隠れ借金」を上回る見込みです。しかし、三位一体改革や税制改革等に伴う都財政への影響、さらに今回は見送られた法人住民税の分割基準の見直しや地方特例交付金の廃止などの先行きは不透明であり、財政構造改革の流れを一層確かなものにしていく必要があります。
昨年12月に人口減少社会が現実のものとなりました。人口減少は以前から指摘されてきましたが、そこに向けてのきめ細かな対策がなされなかった無策の現れです。政府は少子化対策を打ち出していますが、抜本的な解決策とはいえません。都民の多くが年金や医療制度改革、所得格差の拡大など将来への不安を抱いています。急浮上した耐震偽装や新型インフルエンザ、アスベストなどへの迅速な対策が盛り込まれていますが、行政として当然のことといえます。
今抜本的に求められているのは、東京の将来を展望し、環境・経済成長・雇用・福祉・教育などがすべて成立できるような地域社会のしくみを再構築すべきであり、それは「持続可能な都市づくり」につながるものです。長期的な展望の下に、安心して子どもを生み育てやすい社会づくりや働く女性への両立支援などの具体的な提案こそ、今行政が示さなければなりません。早急に長期ビジョンを打ち出し、具体策に取り組まなければならない時に、今回の予算原案の中で目新しいものがオリンピックだけというのは、施策のバランスを欠いているといわざるを得ません。
私たちは以上の視点を踏まえ、平成18年度予算原案が未来ある予算となるかどうか十分精査し、復活要望や予算審議を通じて見極めてまいります。
市民の提案が生かされるような活動を展開してまいりますので、皆様からのご提案・ご意見をお待ちいたします。

以上