2014年都議会第2回定例会 討論

2014年都議会第2回定例会討論

2014年6月25日

都議会生活者ネットワーク

山内れい子

 

都議会生活者ネットワークを代表して、上程されたすべての議案に賛成の立場から討論を行います。

○第137号議案「東京都いじめ防止対策推進条例」について

国の「いじめ防止対策推進法」の趣旨や規定を受けて、本条例が上程されました。これまでいじめによる子どもの自殺は、事件として報道されても根本的な解決がされないまま、繰り返されてきました。国や自治体がいじめ問題に真剣に取り組むことになったことは一歩前進と受け止めますが、まずはいじめが子どもにとって学習権・生存権の侵害に当たるという認識を関係者すべてが共有することが重要です。条例や総合対策には教育的な支援をしていくことが書かれていますが、生活指導統一基準の指導指針や、青少年治安対策の枠組みの中で罰則規定が設けられることが想定されます。いじめは、単純にいじめを行った子どもへの厳罰主義で解決するとは思えません。子どものストレスの全てを受け止める第三者機関が必要であり、教育委員会だけでなく、福祉保健局などとの連携を強化するとともに、今こそ都として子どもの権利条例の制定に取り組むべきです。

 

○都立高校の入試採点ミス問題について

都立高校の14年度入試で、採点ミスが発覚し、再点検した結果、過去2年間に2211件の採点ミスがあり、誤って不合格にされた生徒が 18人にも上ったことはまさに異常事態です。実際に業務にあたる学校現場からは、採点日程が厳しすぎるという声や、入試方法が学校ごとに複雑多岐にわたり、多様になり過ぎたことを指摘する声が聞かれます。こうした現場からの声が届いていなかったこと自体が問題です。入学者選抜は、都教委が子どもを選別するというより、子どもの学ぶ機会を保障する、学びを応援するしくみであるべきです。人的ミスはおきることを前提に、制度設計を1から見直し、今後の対策を立てるべきです。今回、設置された都立高校入試調査・改善委員会のメンバーには、本庁担当者と外部有識者のほかに、PTA代表も入っていますが、現場からの声をしっかりと受け止め、率直に話し合える場となることを期待します。

 

○ 外環の2

外環道の地上部街路「外環の2」は、高架道路の外環本線と一体的に整備する都道として、1966年に都市計画決定されました。しかし、武蔵野から杉並の良好な住宅地を縦断する計画は沿線住民から強い反対を受け、40年以上も凍結された後、石原都政下の2007年、地上部に影響を与えないという理由で地下構造に変更して都市計画決定し直されました。この時点で廃止すべきだった「外環の2」計画を据え置いたことが、いまの混乱を招いた原因といわなければなりません。「必要性やあり方などについて広く意見を聴きながら検討を進める」として練馬、武蔵野、杉並で住民参加による「話し合いの会」が設置されながら、合意を待たずに都が練馬区で着工し、さらにその先へと建設手続きを進めようとしていることに対し、住民から抗議の声があがるのは当然です。コンクリート行政を進める前に、都は50年近い昔の計画の妥当性を検証すべきです。

 

○オリンピック会場計画の見直しについて

知事は、2020年オリンピック・パラリンピックの会場計画を見直すことを表明し、カヌー・スラローム会場を都立葛西臨海公園から隣接する下水道局が所有する都有地への変更を検討すると明言しました。生活者ネットワークは、繰り返し、知事の現地視察と会場変更を求めており、この変更は、「環境を優先する2020年東京大会」の趣旨を実現するものと歓迎するものです。

一方、建築家や市民団体等から設計が巨大過ぎる、費用が莫大過ぎるなど批判が相次ぎ、現競技場を改修する代替案が出されている新国立競技場建設は、国が整備する施設という理由で、見直し対象にはなっていません。しかし、オリンピック・パラリンピックの開催都市は東京であり、都知事は国に対し見直しを求める立場にあると考えます。

建設資材・人件費の高騰により、整備費は、当初予算1538億円を大幅に上回る見通しです。建設中止を含め、会場計画の見直しをすすめ、後世につけを残さないことを要望します。

 

○都議会のセクハラ野次について

都議会一般質問において、女性の妊娠・出産に関する質問の際、議場内の男性議員から「自分が早く結婚しろよ」などのヤジが飛び交い、嘲笑が湧きました。こうした言動は、セクシュアルハラスメントにほかならず、人権侵害行為であり、決して許されるものではありません。公的な場所である議場において発せられた内容は、男女平等参画をすすめ、セクハラ防止に取り組む都政を監視すべき都議会として、消すことのできない汚点を残したものと、弾劾せざるを得ません。都議会議員の人権意識の低劣さが問われるものであり、当該議員のみならず、この問題をうやむやにしようとする議会のあり方にも批判の目は厳しく注がれているとみるべきです。

今、差別発言に関する問題は、各国で国政を揺るがす事態となっています。オ

リンピック・パラリンピックを開催しようとする東京の都議会において、このような差別発言が許されるはずはありません。

都議会生活者ネットワークは、議会として厳正な対処を求めるとともに、社会が抱える女性差別の問題に対して、いっそう真摯に取り組んでいくことを決意し、討論とします。

以上