2008年第4回定例会 一般質問

2008年12月10日
大西由紀子

(質問部分抜粋)
緑の保全について
Q1.東京の環境を考える上で、緑の保全と創出は大変重要な課題。2007年1月には、都庁内に全庁横断型組織である「緑の都市づくり推進本部」を立ち上げ、6月には「緑の東京10年プロジェクト」基本方針で、あらゆる手法で緑の保全・創出を行なうことが示されました。意欲的な取り組みに期待し、緑の都市づくりに向けた知事の決意を改めて伺います。
A1.(知事)
緑の都市づくりについてであるが、「水と緑の回廊に包まれた、美しいまち東京を復活」させるためには、新たな緑を創出するとともに、今ある緑を保全する取り組みが必要である。そのため、都は現在、街路樹の倍増や校庭の芝生化などに取り組むとともに、規制や誘導により、民間の緑を保全・創出するなど区市町村とも連携しながら、多角的な取り組みを進めている。また、企業の協力を得て、多摩の森林整備を進めるなど、都民・企業が主人公となる「緑のムーブメント」を展開し、東京の総力をあげて、緑あふれる都市の実現を目指していく。

緑の保全-校庭の芝生化について
Q2.緑の重点施策のひとつである校庭の芝生化で、都内の全公立小中学校の実施で300haの緑の確保をするとしています。教育庁は、学校の芝生化をどのように評価し、支援していくのか、見解を伺います。
A2.(教育長)
学校における芝生についてであるが、校庭を芝生化することにより、子どもたちはけがをおそれず、思いっきり活動できるようになるとともに、情操教育の面でも効果が期待できると考える。都教育委員会は、これまでも、区市町村と校庭芝生化に係る意見交換を行なうとともに、研修会を実施し、芝生化を進めていく上での課題や対応策について、先行的に芝生化に取り組んでいる自治体の事例を紹介するなど、情報提供をおこなってきたところである。今後は、これまでの取り組みに加え、地域の人材を活用した活動の事例紹介など、学校と地域が協働した校庭芝生化の体制づくりを支援するとともに、関係局と連携し、芝生化の教育上の効果やメリットなどについて、区市町村に対し、より一層の周知を図り、芝生化を強力に推進していく。

Q3.3ヵ年のアクションプランでは、260校50haの芝生化の実現目標をかかげ、環境局は教育庁とも連携し、学校を訪問しながら懸命にPRに務めているとのことです。都内公立小中学校の校庭芝生化の推進状況と、今後の取り組みについて伺います。
A3.(環境局長)
校庭芝生化の取り組みについてであるが、都は、区市町村に対し、整備費等の補助、専門家の派遣などを行なうとともに、芝生化を広く都民や学校関係者に周知するため、イベントの開催など各種PR活動に努めている。また、学校現場では、地域などと協同した、活発な芝生の維持管理活動が行なわれており、昨年度末現在、78校で校庭芝生化が実現している。今後、芝生化を一層推進するため、こうした学校現場の取り組みを広く普及させていくとともに、芝生化を支える企業等で構成する、「東京芝生応援団」による支援を拡充するなど、取り組みを進めていく。

Q4.市区町村の財政難で、学校運営費は削減されており、東京都からの芝の専門的維持管理費(1/2)支援が終了する4年目以降の維持費捻出に見通しがつかない状況では、校庭の芝生化は進みません。自治体からは継続した財政支援が求められています。
「10年後の東京」実行プログラム2008が改定予定とのことですが、校庭の芝生化を全校に着実に広げるためには、知事本局がどうリードしていくかが問われています。見解を伺います。       A4.(知事本局長)
芝生化についてであるが、小中学校の校庭の芝生化は、10年後の東京で掲げた「緑あふれる都市」を実現する上で重要な課題であり、実行プログラム2008では、新たに専門的維持管理の支援や、先月発足した東京芝生応援団の取り組み、管理し易い芝草品種の調査研究など、学校現場が芝生化に着手しやすいよう、総合的な支援策を打ち出した。校庭芝生化は、子どもたちが身体を動かすよろこびを味わえるなど、大きな効果があることから、今後3年間で、260校の校庭芝生化という目標達成に向け、関係局と連携しながら、総合調整約として積極的に取組んでいく。

緑の保全-特別緑地保全地区指定の促進について
Q5.都内のみどり率は、2003年には区部約24%、多摩地区約72%で、その後5年の間に、区部1%、多摩部2%ポイント減少しています。都は海の森、街路樹倍増計画、花粉の少ない森作り、校庭の芝生化など、みどりの再生に力を入れていますが、既存林の雑木林や屋敷林などをいかに残すかが、まちづくりに欠かせない視点です。
地域での緑地保全の制度として、都市緑地法に基づく「特別緑地保全地区」の指定があります。区市町村が主体となって取り組む区域の中での開発行為が不許可となった場合、土地所有者は区市町村に買い取りを請求できます。買い取り費用の1/3は国から補助されますが、2/3は区市町村の負担で、この負担が特別緑地保全地区の指定を躊躇させる一因といわれています。
23区では、都市計画公園に位置づけることで、都区財政調整交付金や都市計画交付金でほぼ100%の資金が調達できますが、財政状況の厳しい多摩地区では、買い取り請求に応じることが困難で、特別緑地保全地区の指定が進んでいません。既存樹林が残っている多摩地区でこそ指定を推進すべきだと考えます。
今後、多摩地区での特別緑地保全地区の指定促進に、都はどのように取り組むのかを伺います。
A5.(都市整備局長)
特別緑地保全地区指定への取り組みについてであるが、東京に残された貴重な緑を次の世代に引き継いでいくためには、地域の緑に対する意識の醸成を図るとともに、都市計画の規制により、良好な樹林地を民有地のまま保全していくことが重要である。特に、現状凍結的な保全と相続税等の優遇措置に、特長のある特別緑地保全地区については、多摩地区でも、最近5年間で45ヘクタールの指定を行ってきた。さらに指定を促進していくためには、緑の現状を十分に把握した上で、望ましい緑のあり方や取組りみの方向性を明らかにすることが必要である。このため、現在、市区町村と共同で、「緑確保の総合的な方針」の策定を進めており、この中で、特別緑地保全地区などの活用について検討していく。

臨海開発について
Q6.臨海副都心開発は、三会計統合、関連第3セクターの破たんとホールディングスの設立など、事業環境が悪化する中で、当初の目論見とは異なる対応を余儀なくされてきました。この事業は2015年(平成27年)に完成予定とのことですが、現時点における収支の状態を伺います。
A6.(港湾局長)
臨海副都心開発の収支についてであるが、臨海副都心は、先行的に広域交通基盤や地域内都市基盤の整備を行い、投資資金をその後の土地処分等の収入でまかなう仕組みで開発している。開発着手から平成19年度末までに基盤整備の約9割が完了しており、臨海地域開発事業会計が投資してきた資金は、約1兆1900億円である。一方、土地処分等の収入は、平成19年度末までで既に7740億円に達している。平成18年3月に「臨海地域開発財政基盤強化プランの更なる取組み」を策定し、まちの概成に向け土地処分の促進策や収支試算を示した。現在、これに沿って開発を着実に進めており、平成22年度までの土地処分が決定しているものだけでも、約2600億円あることから、収支のバランスは十分とれるものと考える。

Q7.世界同時不況の中で、臨海副都心開発への影響が懸念されます。東京の不動産市況の冷え込みによる開発への影響を伺います。
A7.(港湾局長)
臨海副都心開発への不動産市況の影響であるが、サブプライムローン問題が顕在化した昨年8月以降、有明北地区で応募者が出なかったケースも1件あるが、青海地区北側を中心に、ビジネス拠点や商業・文化施設などを計画する8件の進出事業者を決定しており、着実に土地処分が進んでいる。これは、企業集積、都心への近接性、羽田空港国際化など、この地域のポテンシャルが高く評価されたものと考える。不動産市況全般を見れば不透明感が増しているが、進出を希望する企業等からの引き合いや問い合わせは続いており、今後も、バブル経済崩壊後の厳しい時期をくぐり抜けてきた経験を活かして、社会経済状況の変化に適切に対応し、開発の総仕上げに取り組んでいく。

Q8.臨海副都心開発は今後も継続される事業です。都民参加の下で開発が進むように、情報公開が重要ですが、会計報告は2005年(平成17年)の包括監査での指摘されたとおり複雑でわかりにくいものです。開発から20年が経過し、事業の検証も必要です。資料やデータをデジタル化し、インターネットで公開すべきです。いかがでしょうか。
A8.(港湾局長)
臨海副都心開発に関する資料等の提供方法についてであるが、臨海副都心開発の事業費や予算、決算状況等については、都議会でご審議いただくとともに、都民情報ルームや都立図書館等において、誰もが閲覧ができるようにしている。さらに、開発の基本となる「臨海副都心まちづくり推進計画」などの諸計画や土地の公募状況、処分状況、また、来訪者のデータなど、インターネットでの提供がふさわしい最新の情報については、臨海副都心のホームページを活用し、広く都民にお知らせしている。今後とも、臨海副都心の開発をわかりやすくお示しできるよう、適切な情報の発信に努めていく。

児童虐待について
Q9.都内の児童相談所における虐待相談件数は、2007年(平成19年)度は3307件で、統計開始の2000年(平成2年)度に比べ25倍に急増しています。子どもへの虐待の早期発見、早期対応が進む中、親元から離れて施設等に入所する子どもの数も増え続けています。虐待を受けた児童の中には、発達障がいや不登校など心に関わる問題を抱えている例も多くみられます。しかし、子どもの心の治療を行なう専門の医師や医療機関が少なく、緊急時に対応できる精神科病棟の確保が困難なため、適切な対応が遅れる場合がみられます。
児童虐待の対応を迅速かつ円滑に行なえるように、児童相談所等と児童精神医療機関の連携を強化すべきです。都の見解を伺います。
A9.(福祉保健局長)
児童相談所等と児童精神医療機関との連携についてであるが、都は、今年度から「子どもの心診療支援拠点病院事業」を開始し、拠点病院である都立梅ヶ丘病院と児童相談所など地域の関係機関との連携強化を図っている。この一環として、先月、児童相談所と都立梅ヶ丘病院との連絡会を立ち上げた。今後、子どもの心に配慮した関わり方や困難ケースの対応方法、関係機関の適切な連携のあり方などについて検討していく。

Q10.児童養護施設には、虐待等により情緒・行動の問題、さらには発達障がい等を重層的に抱えて入所してくる児童が増加しています。今年8月の東京都児童福祉審議会の提言にあるように、激しい暴力や暴言を振るう子どもや集団生活に不適応を起こしている子どもなど、特に状態が重篤化している子ども達に対して新たな施設整備を行い、支援していくことが必要と考えます。
虐待を受け児童養護施設等で育った子どもは、施設等を退所し自立するに際に保護者の支援が得られない、人間関係や社会生活で悩んだ時に適切な助言や支援を得られず就労が続かないなど、様々な困難に突き当たることが多いと聞いています。こうした児童を支援するため、1998年(平成10年)から児童自立生活援助事業、いわゆる自立援助ホームが法制度化され、今回の児童福祉法の改正では、対象年齢が18歳未満から20未満へ引き上げられ、全都道府県での実施を義務化し、運営費も補助金から負担金化し義務的支出にするなど、支援が強化されました。これらの改正の趣旨を踏まえ、都としての今後の対応を伺います。
A10.(福祉保健局長)
児童養護施設等を退所し、就労自立を目指す子どもに対し、日常生活上の援助・生活指導を行なう場と自立援助ホームを制度化するとともに、独自の支援策を講じており、現在、都内に全国の約3分の1を占める18か所のホームが設置されている。今回の法改正は、社会的養護における重要な課題である年長児の自立支援に資するものであり、これまでの都の取り組みを踏まえ、事業の一層の充実を図っていく。

周産期医療について
Q11.大病院が多い都内でも、妊婦の救急搬送が難航する事態が続いたことを受け、国でも、懇談会を発足させて、周産期医療と救急医療の連携についての検討が始まりました。都は、11月5日に周産期医療協議会を緊急開催するとともに、今議会に上程された補正予算に周産期医療緊急対策を盛り込みましたが、ひとりの命が失われなければ対策が打ち出せなかったことについては大変残念な思いでいっぱいです。
都は、本年3月、「周産期医療連携ガイドライン」を策定し、都内各地域でネットワークグループを立ち上げ、総合周産期母子医療センターを中心にして、地域の病院や診療所、助産所などの医療機関等が役割分担をしながら、顔の見える連携を築き、地域における周産期医療の確保を図っていくということです。
渋谷区にある日赤医療センターでは、妊産婦の日常の健康管理や産後のケア等は地域助産所が対応し、節目の検診での医学的チェックや分娩は日赤医療センターが対応するなどの連携を進めていると聞きました。助産師のきめ細かな対応を活かしつつ、医学的管理もしっかり行なう優れた取り組みだと考えます。
こうした実例も踏まえ、地域における周産期の連携体制作りに、どのように取り組んでいくのか伺います。
A11.(福祉保健局長)
周産期母子医療センターと地域の助産所や診療所等がそれぞれの機能や特性を活かして、連携を進めることは、安全・安心な出産の確保や医療機関の負担軽減のうえからも有である。都では、本年3月に策定した「連携ガイドライン」を基本に、各地域での優れた取り組みの実例も参考に、地域の医療機関等による周産期医療ネットワークグループの立ち上げを進めている。こうした取り組みを通じて地域の周産期医療を支える体制の構築を図っていく。

(意見)
周産期の救急医療体制と同時に、妊婦自身が妊娠や出産に対する理解を深め、自分の健康管理を適切に行なうことが、ミドルリスクやハイリスクの分娩に早期に対応する上で重要です。生活者ネットワークが行なった世田谷の産後ケアセンターの視察や、地域で開業している助産師さんからの聞き取りから、これまでの母親学級や出産後の訪問事業に加え、子どもを産む立場にある女性に対し、助産師さんの力を活かした健康づくりを、中学生くらいから進めていくべきだと感じました。助産師の実態把握と活用について、都として真剣に検討するよう、要望します。

有害化学物質対策について
Q12.人が作り出した化学物質は、8450万種を超え、その内10万種は商品化され、人への影響が懸念されます。化学物質の多くは、生物の体内で分解されず脂肪に蓄積する性質を持ち、食物連鎖の結果、人に蓄積するといわれています。実際に、アトピーやアレルギーの人が増え、早産・低出生体重児の増加などのほか、自閉的で社会性が育たない、突発的に怒る、学習障害なども化学物質の関与が疑われています。子どもや胎児への影響は重大で、私たちは、未来ある世代に責任があることを認識すべきです。
2001年6月議会で、生活者ネットワークが化学物質の子どもへの影響を未然防止する立場から、都独自の対策を求めたことに対し、知事は「国の対策は生ぬるい!都独自の基準を策定する!」と答弁。それにより、都は国に先駆け、「化学物質の子どもガイドライン」を策定し、取り組んできたことは評価されます。
しかし、先駆的な取り組みであるがために、持続的な普及・啓発が必要であると考えますが、どのように徹底を図っていくのか伺います。
A12.(環境局長)
化学物質の人や環境への影響を減らすためには、適正な使用が行われるよう、関係者に対し、継続的に働きかけていく必要がある。都は、これまで、樹木への殺虫剤の使用や室内空気中の化学物質などの子どもガイドラインを策定し、公園、保育園など、子どもが多く利用する施設の管理者等へ周知してきた。また、関係者や都民に対し、パンフレット等を配布するとともに、都のホームページに掲載し、広く普及に努めてきた。今後も、区市町村と連携し、あらゆる機会を捉えて子どもガイドラインの周知徹底を図っていく。

Q13.「化学物質子どもガイドライン」は、特定の分野や場面での化学物質の具体的な適正使用には有効であり、今後も継続的な取り組みが必要です。
さらに生活全体から化学物質を捉えていくために、例えば、「食育」と同じように、化学物質についても、子どものころから知識を与え、自らが判断し、選択し、適正な使用をすることにより、化学物質を低減させていく取り組みが必要と考えます。見解を伺います。
A13.(環境局長)
化学物質は、生活の様々な場面で使われ、現代生活には不可欠であるが、不適正な使用により、環境や人への影響を及ぼす可能性もある。化学物質による影響は、一般に、発達期にある子どものほうが、大人よりも大きいとされているため、都は、子どもガイドラインの作成を通じ、化学物質の適正な利用の促進を図ってきた。今後とも、子どもを化学物質の影響から守る視点で、広く都民に対し、正確な情報を提供することにより、化学物質に対する正しい知識の普及と適正な使用を促していく。

(意見)
いまや化学物質なしの生活は不可能です。しかし、これを削減し、未来世代の健康を守ることは可能です。特に生殖世代にある若い世代を化学物質から守るためには、環境中の化学物質を低減させる対策を充実する必要があります。
これまで進めてきた「化学物質の子どもガイドライン」の実績を踏まえ、さらに実効性を持たせるため、条例化を検討すべきであることを申し上げて質問を終わります。