2006年第3回定例会 討論

第三回定例会討論

都議会生活者ネットワーク
山口文江

私は都議会生活者ネットワークを代表して、本会議に付託された全議案に賛成の立場から討論を行います。

まず、はじめに、景観条例の改正についてですが、景観法の成立を受けての全部改正で、
建築物や工作物の色彩に対する変更命令や屋上設置の公告物などを禁止する区域の指定、
景観配慮を条件とする大規模開発の許認可などが盛り込まれたことは一歩前進と受け止めます。
しかし都市の景観を阻害するものすべてを、この条例だけで規制することはできません。東京で生活する一人ひとりが豊かさを実感できる美しいまちづくりを進めるために、景観という概念が都民にも事業者にも定着するよう、都の取り組みを強化するとともに、区や市が景観行政に取り組むことを支援していく必要があります。また景観基本軸など広域的な景観の保全については、都の役割として責任を持って進めていかなくてはなりません。
都は、10年20年後を見据えた都市の姿をさまざまな角度から検討し、必要な規制誘導を図るべきであることを申し上げておきます。

次に議員提出議案の3件について申し上げます。子どもの医療費助成については子育て支援の観点から、区市町村に対して都も一定の支援を行うことは当然ではないかと考えます。またモノレール等の交通機関へのシルバーパスの適用については、以前の路線バスが廃止になり、高齢者にとっては運賃の高いモノレールを利用せざるを得なくなっていることを考えると、早急に解決すべき課題です。障がい者施策は自立支援法の施行以降、3障害を対象とする考え方に変わった今、福祉手当もこれまで対象外だった精神障がい者を含めた条例とする、というのは当然のことです。それぞれの提案の趣旨に生活者ネットワークは賛同し、その趣旨については都としても真摯に受け止め、検討することを求めます。

次に今議会には上程されなかった認定子ども園に関して申し上げます。この10月から法律が施行されたにもかかわらず、いまだ国は新たな基準を示さず、財政支援も限定的で、区市町村は見切り発車を余儀なくされました。都内では、未だに解消されない保育園待機児や孤立した子育てへの支援等、問題が山積しています。制度がスタートしたのであれば、よりよく機能するようにしていくのは当然のことです。国に早急な対応を求めるとともに、都はスタートした認定こども園の状況を十分に把握し、子どもたちの保育環境の整備や保育機能の充実への契機として子育て支援の強化につなげるべきであることを申し上げておきます。

一般質問で取り上げた製品の安全性に関しては、相次ぐ製品事故の抜本対策として、経済産業省も「消費生活用製品安全法」を改正し、製品事故報告の義務付けと公表を制度化する方向を示しています。しかし「報告義務を課される範囲」や「事故原因が使用ミスと扱われることで報告義務の除外とされるのではないか」など多くの課題があります。一般成人なら被害が軽く済む場合でも、高齢者や幼児が関係する場合には、重大事故になる可能性があります。たとえばシュレッダーによる指切断事故の被害者はいずれも子どもでした。業務用の製品を一般家庭で使用したり、高齢者や子どもが1人で家にいる際に、製品が本来想定していなかった使われ方が増えていることを十分に認識して、現場を持つ自治体として、死亡の場合だけでなく、負傷以上を「報告義務の対象」とすることを国に提言していくべきであることを申し上げておきます。

最後に教育についてです。今学校現場はいじめ・暴力・不登校が解決しないまま、学校不信・教員不信が募り、子どもと保護者への対応に追われる教員の悩みは深刻です。この6月、新宿区で新規採用の先生が自殺するという痛ましい事件があり、区では公務災害が認められるよう配慮することを明らかにしました。その上で新卒の先生に対して、教員養成や任用について改善策を考え、都教委にも働きかけるとしています。一般質問でも申し上げましたが、団塊世代の大量退職時期を控え、教員の数と質の確保はますます重要になっています。都教委の速やかな対策を要望して生活者ネットワークの討論とします。