2004年第3回定例会 代表質問

第三回定例会代表質問
大河原雅子

2004年9月28日

地方分権型義務教育の財源について
Q1 「三位一体改革」に関する政府と地方団体の協議会が開かれましたが、地方側が示した補助金削減案に対し閣僚は反論を行い、早くも省庁側の抵抗が露呈した状況です。ローカルパーティーとして分権を強く望む私たちとしては、今回の知事会の決定については、初めから3兆円の数あわせと見る向きもありましたが、分権など頭にない国の政治家と官僚が、「三位一体改革」の中身を提示できなかったことを考えれば、一応の評価をするものです。
しかし、義務教育国庫負担については、義務というからには補助金ではなく全額国庫からの支出があってしかるべきです。今回の議論の悲しむべきは、教育水準と財源が同じ土俵でなされたことです。地域にあった教育を実践したい、地域の工夫で画一的な教育から脱皮したいと、多くの自治体は考えています。地方の裁量が広がったとはいえ、国に対して、お金を出しても、口は出させない方法を議論しなければなりません。「地方分権型義務教育についての見解」を東京都から出すべきだと考えます。今回、国庫補助負担金改革に関し、知事会案が政府に投げ返されましたが、都は、基本的見解で補助金や交付税の改革の必要性を訴えています。今後、改革の具体的な考え方をいつ、どのように示されるのか、知事の見解を伺います。
A1(知事答弁)
経済財政諮問会議は、11月半ばを目途に、国庫補助負担金や交付税などについて、「改革の全体像」をとりまとめるとしている。しかし、現状は、関係各省などの抵抗で、いまだに補助金改革の方向すら定まっていない。私自身、すでに小泉総理をはじめ関係閣僚や経済財政諮問会議のメンバーに直接都の見解を伝え、本質的・抜本的改革を促してきた。今後とも、真の地方分権改革につながる考え方を具体的に示しながら、世論に訴え、国に働きかけていくつもりだ。

第二次財政再建プランの実行について
Q2 先日発表された4~6月期のGDP改定値は、設備投資が増えたことで上方修正されると考えられていましたが、実際には在庫投資の寄与度が下方修正されるなど、景気が上昇するばかりとは読みきれないようです。
都財政においても、法人二税の増収が伝えられていますが、6割を占める消費動向は将来不安から上昇せず、また原油高騰や金利の上昇など大変不安定要素が大きい中、第二次財政再建プランを着実に実行していくことが重要と考えますが、知事の見解を伺います。
A2(知事答弁)
第二次財政再建推進プランについてであるが、巨額の財源不足や隠れ借金が依然として存在し、基金残高も減少するなど、都財政の再建は途半ばにある。景気の先行きを楽観視する一部の声に流され、ここで財政再建の手を緩めると、これまでの努力すら水泡に帰してしまうことになりかねない。中期的にも安定的に行政サービスを提供できる、持続可能で強固な財政体質を確立することを目指し、財政構造改革の取り組みを進めていくことが重要である。短期的な景気動向にとらわれることなく、さらに気持ちを引き締めて、第二次財政再建推進プランを強力に推進していく。

水道料金について
Q3 水道はすべての人のライフラインとして、事業運営にあたっては、本来の目的である公共の福祉の増進をはかり、同時に、効率的な事業運営が求められてきました。水道料金は平成6年の改定以来10年間値上げを行なわずにきましたが、言い換えれば、需要構造の変化や都民ニーズに応える料金制度の見直しは、今日まで先送りされてきたともいえます。
水道会計は独立採算といいながら、経営構造について都民にわかりやすい説明がなされてきたとはいえず、今後の情報提供のあり方が重要となります。また「公共事業やさまざまなサービスを、一つの商品としての価値を見極める、消費者の厳しい目が注がれている」と、水道事業経営問題研究会のまとめのことばがあります。今回の料金体系の見直しを提案するにあたり、水道局としてアカウンタビリティの確保をどう認識されていますか。
A3(水道局長)
水道事業においても、アカウンタビリティの確保は重要であると認識しており、経営に関する情報は、積極的かつわかりやすく公開していくことが必要。このため、定期的に経営計画を策定し、施設整備長期目標を設定するなど、目標管理を徹底するとともに、事業評価を導入し、その成果を公表することなどで経営内容を都民に分かりやすく説明。今回の経営計画における料金体系の見直しについても、パンフレットやホームページといった広報媒体を活用するなど、あらゆる機会を通してこれまで以上に積極的かつ分かりやすいPRに努める。

Q4 都民にとって値下げは歓迎されるはずですが、財政不足や料金収入の減少がありながらの値下げは、わかりにくいものです。公営企業たるもの、内部努力は最大限行なうことは当然ですが、サービスの質が落ちるようでは困ります。都民アンケートでも安全性をもとめる声も多く、水道・水質などの検査体制が簡素化・簡便化されるのではないかとの危惧も生まれます。見解を伺います。
A4(水道局長)
今回の料金改定は、事務事業の一層の効率化など、最大限の企業努力を実施することにより、料金水準を引き下げるもの。経営プランにおいては、より信頼性の高い水道システムを構築していくとともに、都民ニーズに的確に対応した、質の高いお客さまサービスを展開していくこととしており、そのために、必要な事業を計上。水質に関しても、検査体制の強化をはかるなど、今後とも水道水質の安全性の確保に万全を期す。

Q5 水道料金の見直し案は、基本水量を10トンから5トンに引き下げ、逓増型料金体系は維持しつつ、最高単価を引き下げて逓増度も下げるなど、水道事業経営問題研究会の報告を丁寧にトレースしており納得のいくものです。しかし、研究会報告では、節水のインセンティブをより働かせるため、将来的に基本水量の全廃を提案しており、今後、環境への配慮をもった節水インセンティブが働くしくみや、コストに見合った料金体系に向けた検討をすべきであると考えますが、見解を伺います。
A5(水道局長)
基本水量は、水道の普及促進や、公衆衛生の向上を目的として導入。今日では、水道の普及率は100%に達し、むしろ、節水など、環境への配慮が社会的な要請。一方で、基本水量のさらなる見直しなどについては、都民生活に与える影響など様々な課題。今回の見直し結果を十分に検証しつつ、慎重に見極める。

水循環について
Q6 都は野川流域を対象地区とし、水循環再生事業として地下水かん養に最も効果的な雨水浸透ますの設置に補助を行っています。野川流域の住民や自治体からの強い要望を受け、平成2年度から湧水保全モデル事業として国分寺から始まり、順次対象区市を拡大してきた事業です。
都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の規定に基づき、地下水の保全をはかるため、雨水の地下浸透の方法などについて定めることを目的に、「東京都雨水浸透指針」が平成13年度に策定されました。平成14年度に、全国に先駆けて湧水を取り上げ「東京都湧水等の保護と回復に関する指針」を策定しました。翌年には、湧水に対する都民の関心を集め、その保護と回復をはかるため、57カ所の湧水を「東京の名湧水」として選定しています。都市の市街化により、著名な湧水までも開発の波にさらされるなど、湧水等の消滅が進む現状の中、都は、地下水のかん養、湧水量の増加による池や河川の浄化作用、河川の氾濫防止、水辺環境向上などに大きく寄与する雨水浸透ます設置補助事業を推進し、これまでの湧水の保全に関わる施策は高く評価できます。
野川流域において、清らかで豊かな水の流れを、将来の世代に残すためには、雨水をより多く地下に浸透させて、地下水や湧水を守ることが重要です。
そのために、これら2つの指針の趣旨を踏まえ、都は地下水を保全するために、どのような対策に取り組む予定でいますか。
A6(環境局長)
地下水の汲み上げ規制の実施、雨水浸透施設の普及促進、「東京の名湧水57選」の選定及び周知などにより、地下水の保全や湧水の保護と回復を推進。野川流域における地下水や湧水の保全は、流域全体での広域的な取り組みが必要。関係自治体と連絡会を設け、連携して雨水の地下浸透の効果的な対策を検討。都民や事業者が、自発的に雨水浸透対策に取り組むことができるよう、地下水保全の重要性や雨水浸透の方法に関する情報を積極的に提供。

男女平等施策について
Q7 都は、他県に先駆け、2000年より「男女平等条例」を施行しています。その前文で「男女平等は前進してきているものの、なお一方の性に偏った影響を及ぼす制度や慣行などが存在している」と指摘しています。「男女雇用機会均等法」の制定にみるように、あからさまな直接差別は減少したかにみえます。しかし、性には関わらないようにみえながら、実質的にどちらかの性に不利になる規則や制度が間接差別としてあり、都の「男女平等条例」前文ではそこを指摘しています。まだ途半ばにある男女平等参画のため、東京都行動計画「チャンス&サポート」が策定され、差別解消に向けた取り組みが進行中です。学校における男女混合名簿の推進もそのひとつで、行動計画では「出席簿において男女に順序をつけるような取り扱いをしないため、都立学校において、混合名簿の全校実施を推進する」としています。
8月26日の東京都教育委員会の男女混合名簿に関する決定は、「男女平等条例」や行動計画とは、相容れないように思われます。東京都の今後の男女平等および男女混合名簿の推進について、取り組みの姿勢を伺います。
A7(生活文化局長答弁)
今回の教育庁の通知は、「男らしさ」や「女らしさ」をすべて否定するような誤った考え方としての「ジェンダー・フリー」に基づく男女混合名簿を作成することがないよう、都立学校長に配慮することを求めるもの。行動計画の策定などに係わる、東京都の男女平等参画の考え方と基本的に矛盾するものではない。今後も、男女平等参画基本条例に基づき、都民、事業者と連携・協力し、男女平等参画施策を着実に推進していく。

Q8 東京都教育委員会が、都立学校長に宛てた混合名簿に関する通知で「学校において混乱を招いている」と述べた箇所について、具体的にどこの学校でどのような混乱が生じているのかを伺います。
A8(教育長答弁)
東京都教育委員会は、男女が互いの違いを認めつつ、個人として尊重される男女両性の本質的平等の理念を児童・生徒に理解させ、その具現化をはかるため、男女平等教育を推進してきたところである。一部の小学校では、身体計測や内科検診を男女混合名簿に基づき男女混合で行なったり、高学年の組体操を男女混合で行なったりする指導があり、これらの指導は、体に変化が生じている時期の児童に対して配慮に欠けたものであり、児童が苦痛に感じているとの苦情が保護者等から寄せられている。一部の小・中学校では、出席簿が学級担任の判断によって男女混合名簿であったり男女別名簿であったり、学校としての方針が統一されていないことから、学校全体で行なう教育活動等に支障が生じている。こうしたことは、校長の学校運営に支障をきたすとともに、保護者や都民からの信頼を損ねる問題でもあるので、関係の区市町村教育委員会と連携をはかり、指導・助言等を行ってきたところである。東京都教育委員会は、これまで望ましい男女平等参画社会の実現に向けた取り組みの一環として、男女混合名簿の導入を推進してきたところであり、今後とも外部からの圧力に影響されることなく、男女平等教育が適正に行われるよう各学校を指導していく。

Q9 1999年に「改正男女雇用機会均等法」が施行され、それまで努力義務だった募集・採用・配置・昇進など女性に対する差別が禁止されました。しかし、昨年の国連女性差別撤廃委員会において、日本は労働市場におけるポジティブ・アクションの推進やコース別雇用管理に基づく事実上の間接差別の是正を求める勧告を受けています。また、今年6月に厚生労働省が発表した「男女雇用機会均等政策研究会報告」は、「ポジティブ・アクションについては、企業の理解は進みつつあるが、なお、大きな広がりを持った動きには至っていない」と指摘しています。
男女間の明白な差別的取り扱いは払拭されつつありますが、事実上の格差が雇用の場に依然として残っています。都も2003年に、企業がポジティブ・アクションに取り組む際の指針として「ポジティブ・アクション実践プログラム」を作成するなど、普及啓発に努めてきました。こうした取り組みに、さらに踏み込んだ対応が必要です。ポジティブ・アクションの効果的な普及のため、今後どのような取り組みを行なう予定かを伺います。
A9(産業労働局長)
ポジティブ・アクションの普及啓発を効果的にすすめていくためには、企業の意識や取り組み状況を的確に把握し、問題点を分析していくことが重要。このため、今年度「企業における女性の活躍とポジティブ・アクションに関する調査」を実施し、今後の普及啓発に活用していく予定。また、新たに企業間の意見交換や情報収集を行なう「ポジティブ・アクション・ネットワーク会議」を開催するなど、引き続き、普及啓発に積極的に取り組む。

(参考)
「ポジティブ・アクション」とは、固定的な男女の役割分担意識や過去の経緯から生じている差の解消を目指して個々の企業が進める自主的かつ積極的な取り組みのこと。

公立学校の教員不足について
Q10 今年度、都内公立中学校の教員が9月現在で、約50人も不足し、学校は臨時採用の教員で対応せざるを得ず、保護者の間から不安の声があがっています。東京都は、昨年より400人多く教員を採用しましたが、教員不足は隠せない事実です。一般退職や年度途中退職などの増加が要因だといわれますが、子どもの学びを保障する上での環境整備は都教育委員会の果たすべき責務です。こうした事態を来年度避けるためにどのような対応をされるのか。
A10(教育長答弁)
平成16年度は、年度途中の退職者が想定を上回ったため新規採用者で補充できないケースを、非常勤講師を充てるなど、教育活動に支障を生じないように対応した。平成17年度は、平成16年度の状況を踏まえ、児童・生徒数の推移、年度途中の退職者の数等を十分精査し、人材の確保に努めていく。

Q11 5年後、団塊の世代が定年退職を迎える時期には、教員の数は激減します。都教委は今春、東京教師養成塾を設置し、小学校教員志望の大学4年生約100人を集め、1年間の実習や講義プログラムで指導力を磨いた塾生を特別選考で採用することや、都内公立校での5年以上の正規教員経験者を再採用する特例を設けています。しかし、安定した教員の確保には、子どもたちを取りまく状況の変化や、学校運営において教員に求められる職務の多様化、そして何よりも都教委からの管理体制の強化のもとにおかれている教員の現状について、厳しい分析を都教委自らが行なわなければなりません。教員が働きやすい学校運営が行なわれなければ、教員確保の根本的な問題解決につながらないと考えます。今後、習熟度別指導など少人数指導の定着や、特別支援教育の推進には、専門性の高い教員の配置が求められることからも、都の教育行政そのもののあり方を問い直す時と考えますが、見解を伺います。
A11(教育長)
都教育委員会は、人物評価の重視など選考方法の改善、採用後の研修の充実などで、人材の確保・育成に努めている。また、学校の経営基盤を強化するために、主幹制度の導入や異動要綱の見直しなどの施策を展開している。今後とも、施策の積極的な展開により、優れた教員の確保に努めていく。

個人情報保護について
Q12 情報処理技術や通信技術の進展で、情報の大量自動処理や多面的な利用が可能になり、公的部門のみならず、民間部門においても個人情報が大量に収集、データ化され利用されています。生活の利便を増すのに役立つ反面、個人情報の取り扱いに適正を欠いた場合には、個人のプライバシーが侵害される恐れが広がっています。
国において、2003年5月、「個人情報の保護に関する法律」をはじめ関連5法が成立し、個人情報保護制度が整備されました。これを受け、7月、東京都情報公開・個人情報保護審議会は、「個人情報保護制度の新たなあり方についての提言」を発表しました。
今回の提言では、自己に関する個人情報の開示及び訂正を求める請求権に加え、「利用停止請求権を設ける」とされています。ただし、「開示決定された情報だけ」が対象であり、種々の状況から見て、個人情報が利用されていると本人が判断しても、文書不存在といわれることも懸念されます。都民のプライバシーを積極的に保護し、基本的人権の擁護をはかるうえの権利保障としては不十分と考えます。
また、個人情報保護の徹底のため公安委員会が実施機関に加えられています。しかし、警察責務の遂行に支障が生じることのないよう「犯罪の予防、捜査等公共の安全と秩序の維持にかかる事務」について例外規定を定める必要がある、との提言です。犯罪の予防と言えばすべての警察業務が例外規定になるとも受け止められます。条例改正にはこの点において公安委員会と十分な話し合いをもつことが必要です。開示、収集の制限、取り扱い事務の届出・公表がその対象ですが、事務の届出については、情報の取り扱いの透明性を確保するために、できるだけ例外規定を排除すべきと考えます。見解を伺います。
A12(生活文化局長答弁)
審議会答申は、都公安委員会(警視庁)が取り扱う個人情報についても、その存在を広く都民に知らせる必要があることは他の事務と変わりない。遺失物に関する事務、運転免許証の発給に関する事務等は都の一般的な事務と同様に扱われることが適当。犯罪の予防、捜査等公共の安全と秩序の維持に係る事務については、秘匿性が要求され、届出・公表の対象外とするのが適当。都は、答申の趣旨を踏まえ、検討。

Q13 オンライン結合は、高度情報通信社会における都民の利便性や、行政の効率化に寄与しますが、アクセスによる情報の不当な改ざん、破損、漏洩といった事故が発生する危険性も生じます。オンライン処理は、プライバシー保護のために十分な安全対策が求められます。現行条例の「事務の執行上必要かつ適切と認められ、必要な保護措置が講じられている場合を除き、原則外部提供してはならない」という点について、国は「原則提供してはならない」を削除するよう求めていますが、条例改正にあたってはこの考えを遵守すべきと考えます。見解を伺います。
A13(生活文化局長答弁)
現行条例は、事務の執行上必要かつ適切と認められ、必要な保護措置が講じられている場合を除き、オンライン結合による外部提供をしてはならないとする。審議会答申は、この規定を維持すべきとしている。今後も、オンライン結合の制限を維持し、都民の利便性の向上、行政の効率化を達成しつつ、都民の個人情報の保護を一層はかっていく。

遺伝子組換え作物について
Q14 遺伝子組み換え作物については、アメリカやオーストラリアなどの自治体で栽培規制をするなど世界的に動きが活発になっています。ドイツ議会では非遺伝子組み換え(非GM)食品の生産を保護する法案が採択されています。日本においても、北海道や岩手に続き滋賀でも遺伝子組み換え作物に対する栽培指針が策定されました。いずれも、消費者や農業者などの不安に応えてのことです。
都は、「遺伝子組み換え作物について、多くの都民や農業者の不安に応えるため、年内に検討組織を設け、検討する」としており、期待しています。
この検討委員会は、東京産農産物に対する不安や風評被害などの混乱を未然に防ぐ対策を、多くの農業者や都民(消費者)の参加で進めるべきですが、検討方向について伺います。
A14(産業労働局長)
現在、検討委員会の設置に向け準備しているところであり、学識経験者、農業者、消費者等の様々な立場から幅広い参加により論議を深めていく。この検討委員会では、国の制度の問題点を明らかにし、栽培予定者からの事前の情報提供や、近隣住民等への説明を求めることなど、都の指導指針のあり方などについて検討していく。

Q15 今年4月に内閣府大臣官房政府広報室は、「科学技術と社会に関する世論調査」の結果を発表しました。科学技術の発展により不安を感じる分野を聞いたところ、「遺伝子組み換え食品などの安全性」を挙げた人の割合が約60%と最も高くなっています。
「科学技術に関する政策の形成には、研究者や行政官といった専門家だけでなく、国民自身の参画がより一層必要となってくる」と思う人の割合は約72%、「科学技術について知りたいことを知る機会や情報を提供してくれるところは十分ある」と思う人の割合は約18%となっています。遺伝子組み換え農作物に対する市民の関心に的確に応えていくことが重要です。このため、農林水産省では遺伝子組み換え作物に関する市民からの要請・提案に応える取り組みとして、市民会議を開催しています。
東大農場での実験栽培に関して、東大側からの説明が都民の理解を得られなかった経緯を踏まえ、都においては都民との相互理解の醸成や信頼関係の構築をはかるためにリスクコミュニケーションのあり方について重点を置いた取り組みが重要であると考えます。
都としても今後、遺伝子組換え技術のあり方をめぐる社会的合意形成に向けた、市民対話、市民参加のあり方、情報提供のあり方等、相互理解のための場づくり等、様々な手法を試みていくべきであると考えますが、見解を伺います。
A15(産業労働局長)
専門家が、遺伝子組み換えに関する技術開発等を行なう上で、その技術に関する情報を積極的に提供するとともに、都民の抱く不安や関心について理解することが重要。現在準備を進めている検討委員会では、意見交換の場づくり等も指導指針策定上の課題。今後とも、相互理解を進めるための様々な手法について考えていく。

<再質問>
Q 男女混合名簿による混乱とは、小中学校だけのことと解してよいか。
A 事例として小中学校について述べただけであり、高校でも混乱がある。