2004年第2回定例会 代表質問

第二回定例会代表質問

新井 美沙子

地方分権をすすめる財源について
Q1 石原知事は、1999年に都知事に就任されてから、3人の副知事体制で都政運営を進められてきました。昨年には、「第2次財政再建推進プラン」や「都庁改革アクションプラン」を出され、大幅な職員削減にも取り組まれています。さまざまな見直しが求められている厳しい時代に、4人の副知事体制をしくにあたっては、その役割と全体的な都政運営の構想を、所信表明などで、都民に対し明確に説明する責任があったと考えます。
さて、「地方分権改革に関する東京都の基本的見解」で、都は財政的に国と地方のこれまでのシステムがすでに破綻したことを明確に示されました。地方財政制度の抜本改革を具体的な数値を掲げて提起したことは、分権・自治を最大の課題とする私たちにとっては評価できるものです。
この基本的見解に示されたように、日本の社会システムは大きな変革期にあります。政府単独で多様化した市民ニーズを満たすことは不可能ですし、財政的にもこれまで行ってきたサービスが提供できなくなったことは明らかです。国から都道府県へ、そして市民に一番身近な市区町村へ税財源の委譲を進めなければなりません。しかし、改革案を提示して、国が実施するのを待つばかりでなく、自らが実践することで、実質的な分権を進めることも必要です。
寄付金控除制度の抜本的な強化を進め、自治体の政策を提示して、そこに納税者から寄付を募ることも、分権推進の効果があります。都は、国に向けた制度改革を要求するだけではなく、地方が起債や交付税に頼らない自治が獲得できるような具体的なしくみを提示するべきではないでしょうか、考えを伺います。
A1(知事答弁)
地方分権改革の目的は、全国の自治体が自立し、地域の実情に即した政策を自主的に展開できるようにすることである。ご提案も含め、さまざまな議論があることは承知しているが、今、何より肝要なのは、現行制度の枠内での工夫にとどまらず、制度そのものを抜本的に改めることだと考えている。また、改革は、単に国に要求するだけで実現するものでないことは、十分承知している。首都圏をはじめ全国の自治体と連携しながら、改革に取り組むことが重要であると考えている。都議会のご支援もいただきながら、庁内一丸となって取り組んでいく。

NPOとの協働推進について
Q2 社会の大きな変化に伴い、期待されているのがNPOです。NPO法が制定されてから6年。認証数は東京で3323、全国では16000を超え、資金難や制度面での課題を抱えながらも、環境、福祉、教育、まちづくりなど様々な分野で、社会の大きな担い手に育ちつつあります。NPOとの協働を進めることは、市民にとってはきめ細かなニーズが満たされ、NPOにとっては経営基盤の強化につながり、結果として地域社会全体に活気が生まれることになります。
都ではH13年にNPOとの協働の指針、そして協働のマニュアルを策定し、その推進に取り組んできましたが、この4月の組織改正に伴い、都民協働部が都民生活部へ、市民活動推進課が管理法人課へと変更になりました。都民協働、市民活動推進、というふたつの象徴的な名称が組織図から消えましたが、その取り組みについて、都の姿勢を伺います。
A2(生活文化局長答弁)
都は、これまでNPOと行政との協働を推進するために、市民活動の促進に向けた環境整備を図ってきた。現在、各局や区市町村においては、共催や委託、情報交換などさまざまな形態でNPOとの協働が実施されている。この4月に、都民生活部に名称変更したが、引き続き行政と都民やNPOなどとの連携を推進する立場から各局や市区町村への情報提供などを図っていく。

Q3 直接的な現場を持つ市区町村ではNPOとの協働事業が進みつつあります。都においては、公の施設の管理・運営に対して指定管理者制度導入方針を打ち出すなど、NPOの参入への取り組みは緒についたばかりといえます。他県では、県民税の1%をNPO支援に導入を予定する、また、契約の仕方に工夫を凝らし、NPOのみを対象としたプロポーザル方式を採用するなど、着々とNPOとの協働を進めています。
NPO活動の一層の推進のために、行政とNPOとの協働に対して、さまざまな情報を把握する生活文化局が、各局や区市町村に強力に働きかけることが重要と考えます。推進の考え方を伺います。
A3(生活文化局長答弁)
現在、行政とNPOとの協働については、災害対策や自然保護、防犯等、具体的な分野において行われている。NPOの中には、専門性や優れたアイデアを有するものもあり、事業内容や規模によっては、行政とNPOが協働することで、多様できめ細やかなサービスを安価に提供できる場合もある。先駆的な協働事業を行っている他県の事例なども含め、具体的で幅広い情報を各局や区市町村に提供するなど、今後とも、行政とNPOとの協働事業を適切に推進していく。

公務員の働き方について
Q4 先般、人事院は「営利企業への就職に関する年次報告」いわゆる「天下り白書」を国会と内閣に提出しました。課長・室長級以上の天下りは78件で、就職に至る経緯では「官の斡旋・仲介」が56%、「自発的就職活動・知人の紹介」が27%、「公正な人材活用システム」が12%、ということでした。国家公務員の場合、在職中の仕事とつながりの深い企業への再就職に一定の法的制限があり、役所の許認可などを必要とする民間企業への再就職は人事院規則で禁止されています。しかし、地方公務員には定めがないため、都には、「職員の民間企業への再就職に関する取り扱い基準」がありますが、強制力はありません。
いうまでもなく、東京都は日本最大の自治体です。毎年多額の公共事業を発注し、さまざまな補助金支給、許認可の決定を行う権限を有しています。特に局長級以上の幹部の再就職に関して、都の公共事業の公正さへの影響が懸念されるのは当然です。
これまで知事は様々な行財政改革に取り組まれていますが、不況が続く中、「公務員はリストラも無く、再就職にも手厚く、優遇されている」といった都民の声を真摯に捉え、自治体としての説明責任を果たすためにも、「東京版・天下り白書」を作成し、公表する必要があるのではないでしょうか。まず、局長級以上の再就職先を公表すべきだと考えますが、知事のお考えを伺います。
A4(知事答弁)
国家公務員の離職後の営利企業への再就職については、法律に基づく制限があり、再就職の状況について、国会・内閣に対しての報告が義務づけられている。地方公務員の再就職については、国家公務員とは異なり法律による制限はなく、公表も義務付けられていない。しかし、都では独自の取り扱い基準を作成し、局長級職員については、退職後2年間は、退職前5年間に担当した職務に関連した民間企業への就職を原則として禁止するなど、一定の規制を設けている。たとえ局長級であっても、離職後は一私人であり、都の独自基準に基づき適正に運用していることから、再就職先との関係も考慮すれば、再就職状況を公表することは考えていない。

Q5 近く導入が決まる「一般職の任期付き職員」について伺います。この制度によって、任期付き短時間労働公務員の採用が可能になります。この「短時間労働の公務員」という制度は、フルタイムでは勤務できない人たちにも、地方公務員としての就労を可能にするという点、さらに勤務時間を短縮できる「部分休業」などが盛り込まれている点で画期的な制度です。私たちはこれまでも、オランダ型ワークシェアリングを1つのモデルとして、ライフスタイルに応じた働き方が選択できるような、新しいワークルールを提案してきました。この任期付き短時間労働の導入は新しい働き方に一歩近づくものと考えられます。
東京都の職員の働き方は常勤以外に、再任用、再雇用、専門的非専務的非常勤など、非常に多岐にわたっています。この際、それぞれの勤務形態や仕事内容を整理、把握し、短時間職員を導入するための条例化を検討すべきだと思いますが、見解を伺います。
A5(総務局長)
今般の法改正は、地方公共団体の公務の能率的かつ適正な運営を推進するため、任用・勤務形態の多様化を図ることを目的としている。都においては、これまでも非常勤職員をはじめとする多様な勤務形態を設定し、きめ細やかな活用を図ることで効率的・効果的な業務運営に努めてきた。今後とも、最小の経費で最大の効果を上げることのできる都政運営を目指し、人材活用のあり方について研究していく。

産業廃棄物について
Q6 今年5月に東京都廃棄物審議会より産業廃棄物の適正処理の徹底についての最終答申が出されました。この中にあるように、産廃の不法投棄事件は全国的な社会問題であり、違法に捨てられた側では環境破壊にとどまらず、地域産業にも影響を与える状況になっています。
生活者ネットワークでは、全国最大級の事件となった青森・岩手県境の不法投棄現場をこの5月に視察してきました。88万立方メートルの廃棄物で埋め尽くされた現地に立つと、鼻をつくような揮発性の臭気と共に、ヘドロ状態の水分が流れ出し、これが麓の川にまで流れ込んでいました。地元や周辺住民は「安全な自然を次世代に」との思いで国や県に原状復帰を働きかけていますが、廃棄物の全量撤去には、10年以上の年月と660億円の費用がかかるといわれています。両県とも、まず不法投棄した処理業者の責任を問いましたが、2社とも倒産、1社の社長は自殺という状況です。許可を出した県職員も責任を問われ、許可のない業者に委託した都内の排出事業者6社にも撤去命令が出されました。しかし、首都圏だけで約7000ある排出事業者のほとんどは、責任を問われていません。
産業廃棄物は広域処理が前提ですが、可能な限り排出元での処理が望ましいのはいうまでもありません。
受け入れ地域側では首都圏からの産業廃棄物の流入を抑制しようとしており、首都圏自治体は適正処理の徹底に向けて、これまで以上に真剣に取り組んでいかなければなりません。特に排出事業者を多数抱える東京として、排出事業者責任の徹底についてどのように考えるか、知事の見解を伺います。
A6(知事答弁)
今日の大量消費文明の中で、東京の旺盛な経済活動に伴って発生する産業廃棄物の多くが他県で処分され、一部が不法投棄されている。廃棄物処理法は排出事業者責任をうたっているが、不徹底で十分機能しておらず、処理業者任せが実態である。そこで都は、不法投棄の防止に向けて、排出事業者に対して、その責任を徹底するため、適正処理の報告を義務付けるなど法令以上の取り組みを求めていく。さらに、八都県市をはじめ、広域的な連携を一層強化し、不法投棄の撲滅に取り組んでいく。

Q7 企業の社会的責任、いわゆるCSRに対する関心が高まり、CSR会計や環境会計、環境報告書に積極的に取り組んでいるところが増えています。
今回の審議会の答申では、排出事業者に適正処理への取り組みの報告を求め、それらを公表する制度が提言され、企業の社会的責任を徹底していく上で、大変有意義です。
今後、排出事業者が優良な処理業者を選定できるような仕組みを構築する必要があります。都は優良な処理業者の育成に向けて、インセンティブを働かせる取り組みが必要と考えますがいかがでしょうか。
A7(環境局長答弁)
廃棄物審議会の答申では、処理業者に対して、廃棄物の搬入・排出量や保管状況、施設の稼働状況などを報告するように求め、公表する制度が提言されている。この制度を構築することによって、処理の透明性が高まり、排出事業者が信頼性の高い処理業者を選定しやすくなることから、産業廃棄物処理業が健全な発展が促されるものと考えている。併せて、環境への配慮や情報公開などに積極的に取り組む処理業者が、第三者機関により客観的に評価される仕組みについても検討していく。

遺伝子組み換え作物の生産について
Q8 遺伝子組み換え食品の安全性について、消費者の関心は極めて高く、アメリカでのすさまじいともいえる普及に強い不安を抱いています。食物に関する技術開発は目覚ましく、安全性が未解明なまま、私たちは、食品の安全行政の新たな段階に直面しています。この5月に西東京市の東京大学付属農場内で遺伝子を組み込んだジャガイモの屋外栽培実験が計画され、東大は、栽培計画書を公表して説明会を開催しました。多くの都民や生産者からの疑問や不安の声に応え、東大が試験栽培を見送る決断をしたことは評価できます。遺伝子組み換え農作物については、多くの都民が食品として食べることに不安をもっているだけでなく、花粉が飛んで交雑・混入がおこり、一般農作物の生産・販売に混乱が生じる恐れもあります。しかし、今回、東大は、重要な当該者たる一部の農協への説明を欠くなど、その対応はあまりにも不充分でした。都が、情報提供等についてすぐさま対応されたことには、一定の評価はできます。しかし、今後、都民の不安や混乱を未然に防ぐためにも、屋外実験等に関する、周辺住民への説明責任を果たすための基準を都が示していく必要があると考えますが、見解を伺います。
A8(産業労働局長答弁)
今回の栽培実験は、法に基づき、国が承認した基礎実験であり、説明責任を義務付けられたものではない。しかし、遺伝子組み換え作物には、多くの都民が食品として食べることに不安を抱いている。また、他の作物との交雑に対する不安があり、農業者の中でもこうした栽培実験などについてのコンサンセスを得られていない状況にある。このまま、栽培実験を行えば、都内の農産物の生産・販売に混乱が生じる恐れがある。このため、こうした課題への対応について、都としては、年内に、学識経験者を含めた検討組織を設け、検討していく。

Q9 遺伝子組み換え作物については、生態系などの周辺環境への安全性の研究は確立されていません。都民が交雑防止対策について不安を持つのは当然です。今回の説明会においても現行の防止策に対して、多くの不安が寄せられました。今後、同様な例が出てきた場合、情報開示や指導方法など、都はどのように対応していくのか、見解を伺います。
A9(産業労働局長答弁)
遺伝子組み換え技術は、社会的に有用な面もあり、その研究自体を否定するものではない。しかし、遺伝子組み換え食品に対し、都民の不安があるので、法により栽培承認を受けた遺伝子組み換え作物であっても、混乱を未然に防ぐための指導が必要。このため、当分の間、遺伝子組み換え作物の栽培実験を行う場合には、事前に都に対して情報提供を行うことや実験計画の公表と説明会の開催などにより、関係市町村、近隣農業者・住民の理解を得ていくなどの指導を行う。

Q10 今や、消費ばかりでなく生産においても選択の権利をいかに確保するかが重要な時代です。有機農産物の生産の原則には、遺伝子組み換え技術により育成された種子・種苗、作物体及び収穫物は使用しないことがあげられていますが、仮に交雑してしまえば、農家の苦労も無になる可能性もあります。ドイツの有機農業に取り組む一部農業者は、遺伝子組み換え作物の汚染から消費者と有機農家を守るために、GMOフリーゾーンを設置し、種苗の純血性確保の自衛策に取り組んでいます。都でも国に先んじた「有機農産物認証制度」の経験があり、都内農家にも見られる「GMフリー」の努力を育て、消費者の選択を確保する仕組みづくりは可能です。「東京GMOフリーゾーン」の基準づくりを積極的に検討すべきだと考えます。東京のブランド豚であるTokyoXの飼料のトウモロコシと大豆は遺伝子組み換えではないものを指定しています。都として、GMO汚染から、都内農家のGMフリーを含めた、有機農産物などへの努力をどのように守っていくのか、見解を伺います。
A10(産業労働局長答弁)
いわゆるGMフリーについてであるが、ドイツでは、有機農業に取り組む農業者等が遺伝子組換え作物を栽培しないという地域を、GMOフリーゾーンとして自主的に設定し、本年4月からEUで解禁された。我が国では、遺伝子組み換え作物の商業栽培は未だ行われていない。いずれにしても、都としては今後、遺伝子組み換え栽培に対し、都内農業者の意向の把握や遺伝子組み換え作物に関する様々な動向を注視し、的確に対応していく。

水資源の考え方について
Q11 生活者ネットワークは、貴重な自前の水源である地下水の保全から地域の水循環の回復、河川やダム問題まで、幅広く水問題に取り組んできました。
多摩地区では都営水道への一元化計画が立てられ、その結果、計画対象28市町のうち、25市町が都営水道に統合されています。この間、都は、地下水を地盤沈下や水質の面から長期的には安定性に欠ける「予備的な水源」としながら、「可能な範囲で活用を図る」として、実際には、日常的に汲み上げて都民に給水してきました。多摩地域の地下水については、汲み上げの実態があることから、私たちは、長年、その正規水源化を求めてきたものです。ところがこの春、都は国の指導を受けて、地下水35万トンを認可水源に加えました。長年の正規水源化の要請をはねつけてきた東京都の姿勢が変わったことは、まさに、晴天の霹靂です。国の指導は、日常的に汲み上げ実態のある多摩の地下水は「予備水源」には当らないという、私たちの主張通りのものでした。国の指導を都はどのように受け止めたのか、国のいう「予備水源」と都が使ってきた「予備的水源」とは、大きく意味合いが異なると考えますが、見解を伺います。
A11(水道局長答弁)
多摩地区の地下水についてであるが、平成15年度末に受けた水道事業の変更認可では、予備的な水源であっても、水道水として、現在供給されているという実態があることから、
認可対象として整理されたものである。しかし、長期的に見ると、多摩地区の地下水は、地盤沈下や水質の面から、将来にわたる安定的な水源として位置づけることは困難であると考えている。こうした認識について、都と国は基本的に一致しており、今後の水源確保については、少雨傾向により利根川の実際の供給能力が低下していることなどから、地下水の活用や節水施策などとあわせて、八ッ場ダム等の建設促進が、都民に安定給水を確保していく上で必要である考えている。

意見 国の指導は、昨年6月の時点で明らかになっていました。秋には八ッ場ダム事業費の増額議論の中で、都は新しい水需給計画を示し、新たな水需要予測をしましたが、正しい保有水源と水需要予測値を比較して水需給の過不足を議論すべきでした。実際に認可水源となった日量35万トンは奈良俣ダムなら2基分にも匹敵するものであり、これを計上しないままで、将来の水需給の過不足を論じたことは、到底、認められるものではありません。正規水源として、多摩の地下水源を入れた水需給計画を示すべきであり、異なったデータに基づく八ッ場ダムの同意議決については、検討しなおすべきであると申し上げておきます。

DV被害者の二次被害防止について
Q12 DV被害者の自立支援について、今国会で「配偶者暴力防止法」、いわゆるDV防止法が改正され、都議会の男女議連でもこの法改正についてのシンポジウムを開催しました。まだ課題は残っているものの、様々な支援策が明記され、DV被害者や支援者にとっては朗報です。都も積極的にDV被害者の支援を進めるよう強く求めるものです。
改正DV防止法には「被害者からの苦情の申し出に対する、適切かつ迅速な処理」が明記されました。被害者が相談したことで責められたり、不愉快な思いをしたりという二次被害被害について、都では調査をしていませんが、栃木県の調査によると、回答のあった193件のうち、警察と行政機関で79件の二次被害がでており、看過できるものではありません。最近、相談を受けた警察官が立場を利用してDV被害者をレイプし告訴され、容疑を認めたとの記事が新聞に掲載されました。これは二次被害を超えた事件ではありますが、相談や支援の現場での二次被害を防止するために、職員に対する研修等の充実に努めるとともに、法に明記された迅速な苦情処理を進めるための対策が必要です。見解を伺います。
A12(生活文化局長答弁)
これまでも、区市町村や民間団体も含め、相談窓口や関係機関の職員を対象にしたマニュアル等を作成するとともに、相談員等の研修を実施し、被害者への適切な支援に努めてきた。職員の対応に苦情等があった場合は、当該機関に事実関係を確認し、処理経過を調査の上、必要な措置を講じている。また、苦情等の内容によっては、関係機関との連絡会議等の場で対応のあり方を検討し、情報の共有化を図っている。今後さらに、苦情の対応を含め、二次被害に関する研修を強化するなど、法改正の趣旨を踏まえ、各機関において適切な対応が行われるよう努めていく。

最後に、一言申し上げます。
知事が、所信表明において「ジェンダーフリーへの対応」として述べられた内容について、都議会生活者ネットワークは、大きな失望と危惧を抱きました。
ジェンダーという考え方は、「文化的・社会的につくられた性差」として、1940年代に文化人類学者のマーガレット・ミードによって構築され、その後、第3回国連世界女性会議で「ジェンダーからの解放」の概念が取り入れられました。英語の文献には、1980年代から「ジェンダーフリー教育」という言葉があり、「ジェンダーによる偏り・固定観念をなくした教育」の意味で使われています。日本においては、1999年に「ジェンダーフリー」や「ジェンダーにとらわれない教育」に関する国会質疑が行われ、ジェンダーの課題がやっと認識され、「男女共同参画社会基本法」が制定されるに至りました。
このようにジェンダーフリーとは「男女の性別をなくす」ことではなく、文化的・社会的につくられてきた男女の性に対する偏見や先入観を取り除こうとするあたりまえの考え方です。
しかし、知事は、「男女の違いを無理矢理 無視しようとするジェンダーフリー論の跋扈」として、本来のジェンダーフリーとは誤った捉え方で、歪められたジェンダーフリー論にすべて集約させてしまいました。これは、「東京都男女平等参画基本条例」の推進を後退させることになりかねず、男女がともに自分らしい生き方を発揮できる社会づくりを阻害することになります。
今回の知事発言は、誠に不適切であると指摘し、ジェンダーフリーへの正しい認識を深められることを強く求めて、私の代表質問を終わります。