2022年度予算案発表にあたって(談話)

2022年度予算案発表にあたって(談話)

2022年1月28日

都議会生活者ネットワーク 岩永やす代

 本日、2022年度予算案が発表されました。

 一般会計の予算規模は、2021年度当初予算に比べて5.1%増の7兆8010億円、過去最大になりました。都税収入は、企業収益の持ち直しにより法人二税の増などで、前年度に比べて5858億円、11.6%の増を見込んでいます。

 2022年度予算について、知事は、「都政に課された使命を確実に果たし、次なるステージへと力強く歩みを進めることで、希望ある未来を切り拓いていく予算」と位置づけ、サステナブル・リカバリー、将来にわたる財政の対応力、東京2020大会レガシーの発展を基本にして、グリーンとデジタルに重点的に予算を振り向けた編成としています。

 これまで補正予算で対応してきたコロナ対策の医療提供体制3か月分を当初予算に3610億円盛り込んでおり、それを除くと前年度並みと言えます。

 新型コロナウイルスオミクロン株による第6波は、大変な勢いで感染が拡大し、子どもの感染者も増えています。学校や保育園が閉鎖せざるを得なくなり、親が仕事に行けない事態となります。保健所はパンク状態であり、家族支援のあり方にも工夫が必要です。企業収益が回復したとは言え、市民の身近な経済状況は改善しているとは言えません。貧困問題、雇用問題は一向に解決せず、格差が一層広がり、社会を閉塞感が覆うなか、社会不安を和らげるための支援が必要です。

 都は今回組織改正を行い、子ども政策の総合的な推進を図る「子供政策連携室」を新設することにしています。「東京都こども基本条例」の理念を実現するために、子どもを中心に置き、課題解決につながるしくみとなることが重要です。予算案にはフリースクールや受験生チャレンジ、ヤングケアラーなど、これまで生活者ネットワークが求めてきた支援が盛り込まれ、子どもの困難な状況を改善することを期待します。

 生活スタイルや働き方、家族のあり方も多様化しています。性別にかかわらず誰もが自分らしく暮らすために「ジェンダー主流化」を、多様な人が暮らす東京こそすすめる必要があります。現在改定が進められている男女平等参画推進総合計画に向けて、審議会答申では、都の審議会条例に「いずれの性も40%以上」とするクオータ制の導入を提言しており、実現を期待します。

 気候正義を求める若者たちの声が全世界に広がっています。COP26で採択された「気温上昇1.5℃まで」の目標達成は、大人が果たすべき「未来への責任」です。今回予算でも「ゼロエミッション東京の実現」が掲げられ、2030年カーボンハーフをめざした取り組みが示されています。着実な目標達成のために、まずは都の本気度を示す必要があります。これまで長らく求めてきた都営住宅への太陽光発電設置を歓迎するところです。さらに、都有施設の屋上で、空調機器や緑地へのソーラーシェアリングなども考えられます。NPOや民間事業者の力を積極的に活用して、省エネ、再エネだけでなく、廃棄物を出さない資源循環のしくみサーキュラーエコノミーへの転換が求められます。

 外環外環道のトンネル工事による道路陥没事故の原因究明や対策も不十分なまま、NEXCOは、陥没現場から離れた地点で工事再開の説明会を開催しました。都は被害住民に寄り添い救済を求めるのはもちろん、危険な工事をストップさせる必要があります。また、羽田空港の増便とルート変更問題やリニア新幹線など、市民の安全な暮らしが脅かされる課題もあります。さらに、東京オリンピック・パラリンピックが終了し、費用の精算とともに招致活動からのお金の使い道を明らかにして徹底した検証をするとともに、競技会場が「負の遺産」とならないように存続の可否を含めた議論が必要です。

 確実に進む超高齢少子社会・人口減少社会に伴う諸問題にこそ取り組まなくてはなりません。家族だけで孤立せず、社会全体で支え、地域で安心して暮らせる持続可能な社会にしていく施策が重要です。

 都議会生活者ネットワークは、困難な時代を切り開き、信頼を基盤に多様で寛容な社会をめざし、だれもが安心して暮らせる持続可能な東京を実現するため、生活者の視点でチェックしていきます。