都立盲・ろう・養護学校視察報告

執印まち子

 東京都教育委員会では、5月に「心身障害教育の中間まとめ」を発表し、今後の心身障がい教育について方向性を示すとともに、広く意見を求めてきました。これは重度・重複障がい化や多様化に対応した教育環境の整備が急務となっており、国の「特殊教育から特別支援教育」への転換を受けて、都もLD(学習障がい)、ADHD(多動性障がい等)、高機能自閉症児などへの抜本的な改革が求められているためです。
都議会生活者ネットワークもそれぞれ地域の状況は活動の中で見聞きしているものの、障がい児教育に対する総合的かつ具体的な観点がさらに必要との考えから、9月10日、世田谷区・杉並区地域の盲・ろう・養護学校を視察しました。「光明養護学校(肢体不自由)」、「杉並ろう学校」、「久我山盲学校・寄宿舎」と「青鳥養護学校久我山分校(知的障がい)」です。
各教室の子どもたちの授業風景、ニーズに合わせた指導の様子やITなど補助具の活用、機能訓練や父母の付き添いの状況などを直に視察できたことから、重度・重複化や知的障がい児の増加への対応が急がれていること、盲・ろう学校の在籍児の減少による社会性の保障など、問題点の把握ができました。また、徒歩と電車による移動で、それぞれの周辺環境も理解できました。
「心身障害教育の中間まとめ」は、パブリックコメントやシンポジウム、各地域からの要請に応じての東京都職員による説明会など、これまでの教育委員会の枠を超えた取り組みがされており、10月下旬に本答申の予定です。
生活者ネットワークでは、各地域で都政フォーラムを開催し、障がいのあるなしに関わらず、ともに学び合えるインクルージョン教育の入り口となるよう、取り組みを進めています。
今回の視察にご協力いただいた各学校の校長先生はじめ関係者の方々、参観をさせてくださった児童生徒のみなさんに心から感謝しつつ、今後の活動に生かしていきます。