東京・生活者ネットワーク
都議会議員 大西由紀子
緊縮財政の中 都債で新銀行設立
2004年度予算は、「第二次財政再建推進プラン」の初年度予算として編成されました。「東京の再生を確実に進める予算」として、①内部努力の徹底、歳出額の削減と財政再建への取り組みの強化・向上、②都民の安全・安心の確保、東京の活力再生のため、財源の重点配分と新たな行政需要に積極的に取り組む、ことがあげられています。
一般会計の予算規模は緊縮型予算で、前年度に比べ215億円=0.4%減の5兆7080億円です。歳入の見込みが3兆9206億円と昨年とほぼ横ばいであるなかで、歳出は景気低迷期に発行した大量の都債償還、団塊世代の職員の退職金が膨大にあります。
このような緊縮予算にもかかわらず、「新銀行設立」が予算に盛り込まれ、借金にあたる都債発行700億円を含む1000億円もの出資が、事業内容の詳細な説明なしに提案されました。
破綻すれば税金処理?
新銀行設立の目標は、技術力がありながら金融機関の融資が受けられない中小企業に無担保融資することとされています。確かに既存の金融機関には問題があります。しかし、すでに都には、信用保証協会を通じた融資やベンチャー支援の投資組合が存在し、これらが十分機能してきたか、といった検討のないまま、新銀行を設立することは問題です。
融資先の破綻によって銀行経営が悪化する懸念は大きく、都が税金を使って処理しなければならない事態も予測されます。
見出せない 新銀行設立の意義
設立方法にも問題があります。新銀行設立に必要な認可手続きを省くために、都は経営悪化した既存の金融機関を買収する予定です。議会や都民に計画を明らかにしないまま準備を進めてきたことは、最低限の説明責任の放棄です。
中小企業救済という行政目標のために、都が何をすべきか、今こそ冷静に考えなければなりません。すでに過剰な銀行業界に、行政が1000億円もかけて参入する理由は、都自身すら説明しきれていません。引き返す勇気こそが求められています。
生活者通信№152より