2012年都議会第二回定例会を終えて(談話)

2012年都議会第二回定例会を終えて(談話)

2012年6月20日

幹事長 西崎光子

 2012年都議会第二回定例会が終了しました。

 今議会の最大の議案は、直接請求によって法定署名数を超える32万筆余の署名を持って、5月10日に提出され、知事の反対意見を付して上程された「原発の是非を問う都民投票条例」でした。

 昨年の福島第1原発の事故以来、原発が抱える途方もない危険性を肌で感じ、これまで署名活動などには全く無縁だった多くの一般市民が立ち上がりました。彼らが真に望んでいることは、「誰もが真剣に原発に向き合い、市民が責任と権利を行使するために、互いに議論を尽くし、意思を表示するための場を設けてほしい」ということであり、それが都民投票だったのです。

 知事は、尖閣諸島の問題は国がやらないから都が購入するのだと言いますが、都民にとっては原発の稼働こそが、生命にかかわる重要な課題であり、今回都民から出された提案をしっかりと受け止めるべきです。また立地地域の諸事情を考慮すべきとも述べていますが、もともと立地地域では、国の押し付けと一部の推進派によって原発が建設されてきました。そして原発マネーは、立地地域にとってなくてはならないものとなり、麻薬のように原発依存を強めてきたといわれています。原発事故は、科学技術の進歩や経済成長が、必ずしも人間を幸福にしないことを明らかにしました。立地地域が必要としているのは原発ではなく、働く場であり、地域の産業であり、自治体の収入なのです。立地地域に新たな産業を生み出すための協力は率先して進めるべきであり、大消費地・東京は、立地地域とともにこの問題に取り組んでいかなくてはなりません。

 これまで専門家に任せて無関心に電力を享受してきた責任を自覚し、今後のエネルギー政策を自分たちで考えたいという都民の意思を重く受け止め、民主主義を成熟させるためにも、都議会としては都民投票条例の実施を前向きにとらえるべきでした。

 今議会では「都議会のあり方検討会」から第一次報告が出されました。検討会では、通年議会や議決事件の追加などについては議論がありましたが、議会基本条例や政策議論ができる議会にするためのしくみづくりについてはメニューが出されただけで終わったのは残念です。二元代表性の機能を発揮できるような議会改革を進めていくことが必要です。

 総務委員会での条例案審議においても、40分の意見陳述は行われたものの、請求代表者に対する質問や、傍聴席の拡充・委員会室の変更などは認められず、都民に開かれた議会とはかけ離れたものとなってしまいました。市民の思いを受け止め、議論を尽くす議会改革実践の格好の場であったにも関わらず、会派の思惑で慣例に縛られた運営に終始したのは誠に遺憾です。

  多くの人が、3.11以降「時代が変わった」と感じています。今こそ、必要な将来像を描き、それに向けてロードマップをつくる手法が求められています。市民が主体的に取り組んだ直接請求を踏まえて、都政のあり方を皆様とともに考えてまいります。

以上