2023年第4回定例会を終えて(談話)

2023年第4回定例会を終えて(談話)

2023年12月20日
  都議会生活者ネットワーク  岩永 やす代

 本日第4回定例会が閉会しました。
●学校給食の無償化
 定例会の定例会の所信表明で知事は突然、国に先がけ高校授業料の所得制限を撤廃し、実質無償化することとあわせて、学校給食の負担軽減策を打ち出し、大きな注目を集めました。議員提出議案として、都内全自治体で学校給食を無償化する条例案を4会派で共同提案しましたが、賛成少数で否決されました。食の安全や地産地消をすすめるためにも、学校給食の無償化とあわせて、給食食材に地場産野菜をより多く取り入れていくための都の支援を求めました。

●オリンピック・パラリンピック東京大会
 パンデミックの最中に強行開催したオリンピック・パラリンピックは、次々と不祥事が明るみに出ています。都議会のオリンピック・パラリンピック特別委員会が終了しました。談合や収賄など裁判になった事件だけでなく、招致活動に官房機密費を使った問題が今ごろになって出てくるなど、不祥事は後を絶たず、さらに突っ込んだ調査が必要であり、終了に反対しました。オリンピックはすっかり信用をなくし、札幌の招致断念をも招きました。巨大イベントが利権を生み出す構造的な問題、果てはオリンピックを理由に目先の経済だけを優先した開発事業など、問題ばかりを残しました。

●PFAS問題
 多摩地域の水道水源井戸から始まった地下水のPFAS汚染問題は、23区でも検出され、また全国各地でも問題となっており、解明、解決が急がれるにもかかわらず、健康影響や基準値、測定方法など、国がまだ検討中として、対策に至っていません。検査や研究を行う機関を持つ東京都が都内自治体と協力して観測結果を集め、汚染源究明に取り組む必要があり、今議会で特別委員会設置を共同提案しました。設置に至らなかったのは残念です。

●神宮外苑の再開発
 かつて国有地だった外苑は、戦後、明治神宮の境内地として半額で払い下げられましたが、内苑を財政的に支える収益施設の機能は含まれていませんでした。今回の再開発は、都が日本第1号の風致地区をはじめ、都市計画上のさまざまな規制を恣意的に緩和し、ルールを変えることによって実現可能にしたとも言えます。こうした都市計画決定は、宗教法人への便宜供与を図る憲法違反の恐れがあると指摘しました。しかし都は、適切に対応しているとして、恣意的に緩和したことを認めませんでした。
 公共的な場所での樹木の伐採や超高層ビルの建設、市民になじみ深い神宮球場やラグビー場について、都民不在のまま事業が進められることは問題であり、神宮外苑の将来像を、都と事業者、都民を交えて議論することを知事に求めました。

●児童相談所
 児童相談所の区設置が始まり、今年10月までに児童相談所を開設した8区の一時保護所の定員は167人となりました。東京都の定員250人と合わせると417人に増えましたが、都の一時保護所は依然、満杯状態です。都として一時保護の施設も人員ももっと増やすこと、区が児童相談所を開設した後も広域的な観点から都の支援を充実させることを求めました。

●女性・若者支援を
 歌舞伎町「トー横」に集まる若者や悪質ホストクラブが問題になっていますが、行き場を失った若者が犯罪や巧妙な性搾取の罠に陥ることを取り締まりだけで防ぐことはできず、何の解決にもなっていません。特に、若年女性へのアウトリーチ支援を実施している団体に対する執拗な批判・妨害が都議会でも行われましたが、これは、罠をかけている側を利することにほかならず、結果として、女性が安心して話せる場を失うことになり、罪は大きいと言わざるを得ません。若者たちに寄り添い信頼を得ながら立ち行くように支援することが重要です。

●滝山病院
 看護師らによる入院患者への虐待事件があった滝山病院について、病院設置の第三者委員会が12月18日調査報告書を公表しました。立件事案以外にも複数の暴行があり、違法な身体拘束も常態化していたと明らかにし、「人権意識の欠如」と結論づけたほか、指導監督すべき都の行政の不備も指摘されました。都の立入検査が機能していなかったことがあらためて浮き彫りになりました。不適切医療の実態解明も含めて都の責任で再発防止策に向けて取り組むことを強く求めます。

●香害対策
 洗濯洗剤や柔軟剤、芳香剤などの香りの成分の化学物物質による健康被害が多くのメディアにも取り上げられています。10月30日に、厚労省から医療関係機関に香害ポスター掲示の周知依頼があり、質問しました。都立病院では、病院職員や窓口業務、委託事業者にも香りへの配慮を求め、リネン類に香りがしない洗剤を使用するなど療養環境の整備を図っていることがわかりました。学校現場での香害対策は、子どもや保護者への周知を図っているということです。地域の学校では、独自ポスターや保健だよりなどを使って配慮を求めている例もあります。
 しかし、啓発だけでは限界があります。柔軟仕上げ剤や消臭剤を家庭用品品質表示法の指定品目に追加し、香料を含めた成分表示を義務づけること、成分規制の検討を国に求めるよう、要望しました。また、次々と現れる新たな化学物質への対応が必要で、東京都「化学物質の子どもガイドライン」を改訂することを求めました。

 終わりの見えないウクライナの戦争に加えて、パレスチナのガザ地区でも虐殺やがれきの山が報道され、人権も環境もないがしろにされています。気候危機は一層深刻化し、わたしたちの生活を脅かします。
 困難な時代にあっても、都議会生活者ネットワークは、持続可能な社会の実現に向けて、多様な人が暮らす東京を生活のまちにするため取り組んでいきます。みなさまからのご提案をお待ちしております。